全労協/ 安倍政権を 労働組合の力で退陣に追い込もう / 新聞 2020年2月号

全労協安倍政権を 労働組合の力で退陣に追い込もう / 新聞 2020年2月号

 

 

権力を私物化する
安倍政権を
労働組合の力で退陣に追い込もう
渡邉洋 全国労働組合連絡協議会議長

 

一月二十日、第二〇一回通常国会が開会された。当日、国会前では五〇〇人の労働者市民、各立憲野党代表が結集し、勝手に自衛隊海外派兵を進める安倍政権に対して、抗議のシュプレヒコールを浴びせた。

 

閣僚らの相次ぐ公選法違反、「桜を見る会」、IR疑獄等々、突っ込みどころには事欠かない。しかし、オリンピック・パラリンピック騒ぎが政治腐敗をかき消す可能性を否定できないのも事実。労働者市民の生活と権利を守るため、20けんり春闘、各地域春闘の取り組みと結合して、安倍政治NO!の声を上げ続けよう。

 

オリ・パラ賛美の施政方針

 

案の定、安倍首相の施政方針演説はオリンピック・パラリンピックの成功に向けた決意表明で埋め尽くされた。オリ・パラで「世界中に感動を与える」ために「日本全体が力を合わせて」「国民一丸となって」などと呼びかけた。もちろん演説は、改憲への意気込みについても触れている。

 

その一方で、閣僚辞任、安倍首相自らが招いた政府行事の私物化、与党内に拡大するIR贈収賄等、政権・与党内で相次ぐ不祥事についての言及はひと言もなかった。このことについては、各野党は当然のこと、与党内からも疑問の声が出されている。

 

都合の悪いことに蓋をしておいて、「力を合わせよう」と呼びかけることの厚かましさは他に例えようもない。不正を不正として認めない政権が私たちに押しつける政治に、断固としてNO!を突きつけよう。

 

忘れてはならないこと

 

オリ・パラそれ自体の評価については置いておくが、「国民一丸」云々については絶対に首肯できない。震災復興などに投下されるべき予算が運動会のために消費されてしまうことが一つ。「ボランティア」と称して多くの市民が関連業務にかり出される実態が一つ。

 

そしてもうひとつ、労働者、労働組合として決して忘れてはならないのは、二〇一七年三月に、新国立競技場建設現場で働く建設会社新入社員が、月二〇〇時間にも及ぶ残業の末に失踪し、過労自殺した事件だ。新国立競技場の工事はデザインや建設費をめぐる混乱などで着工が遅れ、厳しい工程管理が求められていた。そうしたノルマ至上主義の中で現場の実態が放置され、一人の若者のいのちを奪うこととなった。

 

「力を合わせて」「国民一丸」といった美辞麗句や精神論で人びとをかり出すことの危険性だけは、強く指摘しておく。仮に、いかに大切な事業目標があったとしても、決して、人の命と健康がおろそかにされるようなことがあってはならない。

 

トランプの戦争ごっこにつきあうな

 

政府は十二月二十七日、海上自衛隊護衛艦一隻の中東派遣を閣議決定した。日本独自の派遣で期間は一年とされている。その法的根拠は防衛省設置法の「調査・研究」で、国会の事前承認を必要としない。国会開会日、国会前では、今国会での審議もなく強行される派遣への抗議の発言が相次ぎ、「自衛隊派兵反対」が何度もコールされた。

 

トランプ大統領の命により、年明け早々、イランのソレイマニ司令官がアメリカ軍に暗殺された。相手がどんな人物だろうが、これは文字どおりのテロだ。イランからの報復攻撃は米軍施設を破壊したが人的被害はなく、双方とも「戦争」への発展を臨まないようすだ。一方で、イランによる民間機誤射撃墜という事件が起こり、多くの犠牲者を出した。一歩間違えば戦争に発展する可能性は、やはり小さくない。

 

こんな事態の中で自衛隊を派遣すれば、両国の緊張関係を煽る結果になりかねない。そうなれば、自衛隊員のいのちも危険にさらされる。日本が当事者となれば日本の社会全体が戦時体制に舵を切っていくだろう。

 

労働組合として、派兵反対の声を上げる重要性が問われている。国会前はもちろん、職場、地域で「自衛隊派兵反対」を掲げよう。

 

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