全労協/ 過酷な労働実態改善 バス運転士が訴える / 新聞 2019年6月号

全労協過酷な労働実態改善 バス運転士が訴える / 新聞 2019年6月号




全労協全国一般東京労組

過酷な労働実態改善
バス運転士が訴える


 四月十九日、全労協と全国一般全国協の援励を得て、東京労組「バス運転者の労働時間等の改善基準」の改訂を求めて、国交省厚労省に申入れを行なった。

 当日は東京労組の春闘第三波続一行動日で、特に運輸関連労働者の労働条件向上を目指した取り組みの一環として行なわれた。東京労組には路線バス会社で組織する組合・分会か四つあり、その交渉には現場でバスを運転している運転士八人を含めて二十数人が参加した。

 申入れの内容は、一日の拘束時間と休息時間について、現行の「①一日の拘束時間は一三時間以内を基本とし、これを延長する場合であっても一六時間を限度、②一日の休息期間は継続八時間以上」を、それぞれ「①一日の拘束時間は一三時間以内、②一日の休息期間は継続一一時間以上」に改定すること、である。両省からはそれぞれ担当者が要望を聞いたが、特に厚労省は「運輸労働者の労働時間問題は五年間先送りされているので、これから労働政策審議会の分科会のもとで公労使の委員会をつくって議論する」と言うに留まった。

 現場の運転労働者は過酷な労働実態を切々と訴えた。現在のインターバル(休息時間)八時間では、たとえば夜十一時に勤務を終えても翌朝七時に就労するというケースが現実にあり、通勤時間などを考えればとても安全運転を確保する条件には及ばないということ。

 あるいは一日の拘束時間が十六時間の勤務もあり、中途で休憩時間がとれたとしても、くたくたになること。さらに、運転中はドライブレコーダーで一〇〇%監視されて
いる上に、乗客は細かなことでもクレームをつけてくることがあり、一方で乗客の様子に注意を払いながら安全を確保しなくてはならないこと(たとえば両手でスマホを扱っている乗客かいれば、配盧しなくてはならない)。そして、事故を起こせば全部運転士の責任になり、乗客からのクレームにより一方的に処分されることもあること等々、おそらくは現場の様子を見たこともない両省担当者は感じるところがあったろう。

 参加者は、国の政策担当者に実情を埋解させるところも重要だと、改めて確認した。そうした交渉ルートをつくれるのだから、もっと主張をぶつけようと話し合った。