全労協/ 女川原発県民投票条例否決に抗議 / 新聞 2019年5月号

全労協女川原発県民投票条例否決に抗議 / 新聞 2019年5月号



さようなら原発


●宮城全労協 
女川原発県民投票条例否決に抗議

三月十五日、宮城県議会は女川原発県民投票条例案を否決した。女川原発県民投票条例は地元紙をはじめ多くの新聞が報道した。「再稼働の民意を問うてほしい」などの投書も取り上げられた。県民投票を求めたのは、野党支持であるか与党支持であるかを問わず、女川原発再稼働の是非の議論に自分たちの意見を反映したいという住民の意思であった。そうして「法定数」をはるかに超える賛同署名が集まり、人びとはまともな議論を県議会に求めた。残念ながら、期待は議会多数派の壁に阻まれた。しかし「みんなのことはみんなで決める」という挑戦は、知事や議会に対して「重い責任」を課すこととなった。署名者たちの思いを胸に、議会傍聴に駆けつけた「m」さんのレポートの一部を紹介する。

県議会本会議では、与野党それぞれ二人が賛成、反対討論に立ち条例案への意見を表明した。「新たな安全神話を作って過ちを繰り返そうとしている。県民の思いは、声を聞いてほしいということだ。その機会を求めるのは当然」と賛成する意見。

反対意見の自民党議員は「二択では県民の思いを汲み取れない。原子力政策は国策。投票結果の尊重義務規定は議員活動を制約する。原発と共存する地域や事業者への影響、交付金や雇用問題が発生する」として「熟慮して反対することにした」と表明した。公明党はどうであったか。「ポピュリズムの負の側面も無視できない。安易に住民に委ねることには弊害が多い」とまで言い切った。十一万筆の県民の思いを愚弄する発言だと、傍聴者から憤る声が上がった。

採決は、修正案も含めて自民、公明の反対で否決された。反対三五(自民三〇、公明四、21世紀クラブ一)、賛成二一(みやぎ県民の声九、共産党八、社民党二、無所属の会二)、採決時に自民党の一人(脱原発議員)が退席した。

県議会が否決したことについて地元紙『河北新報』は、「再稼働の地元判断に、県議会は住民投票によらず責任を持つと意思表示したことに等しい」として「議会制民主主義の担い手として責務が重みを増すことを自覚すべきだ」と報じた。






<女川再稼働>
住民投票条例案否決 宮城県議会、増す責務 県民意見幅広く反映を