全労協/ 郵政65歳解雇裁判 / 新聞 2018年10月号

全労協郵政65歳解雇裁判 / 新聞 2018年10月号



全労協新聞
より


郵政65歳解雇裁判
最高裁不当判決絶対に容認できない


九月十四日、日本郵政グループの有期雇用労働者の六五歳を超えたことを理由とする雇止め解雇の無効を求めた裁判で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は解雇を認める判決を下した。すでに欧米では年齢差別が禁止され、国内でも少子・高齢化社会が深刻化するもとで、国も「七〇歳まで働ける企業と社会」を基本政策としている中、社会の流れに反した時代遅れの不当判決として、満腔の怒りを込めて糾弾する。

原告らは、郵便局で公務員時代から十数年以上も働き続けており、「働けるうちはいつまでも働いてもらいたい」と言われてきた。にも拘わらず、会社は一方的に、有期雇用労働者について六五歳雇用上限の就業規則(「本件就業規則」)を定め、それを根拠に二〇一一年九月末に六五歳を超えていた原告らを解雇した。その数は、全国で約一万三〇〇〇人にも上り、その後も毎年数千人が切り捨てられている。

地裁から最高裁まで七年にわたる裁判では、有期雇用労働者の六五歳雇用上限を定めた就業規則とそれに基づく解雇の不当性が焦点となった。東京地裁は、通常なら解雇無効としつつ、本件就業規則の存在を理由に原告らの主張を退けた。それに対し東京高裁では、解雇撤回は認めなかったものの、有期雇用労働者の困難な生活状況及び少子・高齢化社会における高齢者雇用の必要性や多くの高齢者が元気で働いていることなどの現実を踏まえ、「高齢者といえども就労能力には違いがある」として本件就業規則の再検討のための関係者の努力を求める異例の裁判長の付言がなされた。六五歳を超えても働くことを希望している人が八割を超え、七割の企業では六五歳を超えても働けるという現実を真摯に受け止めた結果だ。

今回の最高裁判決は、こうした流れに真っ向から反し、「高齢の期間雇用社員は適性が加齢により逓減する」として一律に六五歳で雇用を打ち切ることに合理性があるとし、公社時代からの不利益変更であることをも否定した。まさに、社会の現実を全く見ようとすらしない机上の空論としか言いようがない。法についてその趣旨を逸脱しない限りで社会の進歩に合わせて解釈し、適用していくのも裁判所の社会的責任である。今回の最高裁の判決は、そうした社会的責任を全く放棄し、むしろ年齢差別に加担する国際的にも恥ずべき判決である。さらに、非正規雇用労働者の状況を無視したものであり、絶対に容認できない。

郵政65歳解雇裁判原告団・郵政65歳解雇裁判弁護団・郵政65歳解雇裁判支える会・郵政産業労働者ユニオン 声明 抜粋




非正規・高齢者を切り捨てる最高裁〜郵政「65歳解雇裁判」で不当判決