トヨタ04/ フィリピントヨタにおける長期労働争議の解決に関する抗議および要請(2018年9月)



2018年9月17日
トヨタ自動車株式会社

                           フィリピントヨタ自動車労働組合
                           フィリピントヨタ労組を支援する会
                           フィリピントヨタ労組を支援する愛知の会

フィリピントヨタにおける長期労働争議の解決に関する抗議および要請


 私達は、貴社が、フィリピンの現地法人において、一般従業員が国際条約およびフィリピンの憲法・労働法に基づき組合を結成し、かつ労働雇用省から団体交渉権を有する組合として認証されたことを敵視して、大量解雇を強行したことに断固として抗議します。

 そしてまた、貴社が、「本件解雇は国際労働基準に照らして不当であるから、交渉による衡平な解決をするよう、具体的には解雇を取消し原職に復帰させるか、それに代わる適正な金銭補償をして解決するように」との、国際労働機関(ILO)からの再三にわたる勧告に従わず、本件争議を長期間未解決のまま放置し、もって解雇者と家族の団結の破壊をさえ両策し、いたずらに争議の解決を長引かせ問題をこじらせていることに対し、断固抗議します。

 そもそも本件争議は、貴社がフィリピンに進出した現地子会社において労働者に労働組合を作らせないという、本来あるまじき誤った政策を押し進めようとしたことが、労働者の団結力の前に破綻して貫けなくなったときに、資本力に物をいわせてフィリピン政府(当時のアロヨ大統領政権)を脅かし、労働者を大量解雇し、かくして組合潰しを強行したことに、その本質があります。

 このことに関しては、貴殿ご自身が最もよくご承知のことと思います。

 さて、私達が今回特に貴殿に申し上げたいことは以下の諸点です。

 その第1は、フィリピン共和国政府のべロ労働雇用省長官から「ILO勧告に基き本件を解決するため貴殿と直接会談し協議したい」との書簡が既に貴殿のもとに届いているはずですが、速やかに誠実にこれに応えていただきたいことであります。

 第2は、このことに関し貴殿は申入れを受けるべき当事者は日本の本社ではなくフィリピンの現地法人であるとの法人格相違論を持ち出すかもしれませんが、トヨタ本社は「適切な取扱いをするよう現地法人に言ってある」と言いながら、その実フィリピントヨタ社に拒否回答させるといった、そのような欺瞞的なやり方は最早通用しないということであります。

 第3は、フィリピンのドウテルテ大統領の甘心を買うためにフィリピントヨタ社製自動車を寄贈するのに、貴殿ご自身が出向いていって貴殿ご自身の手からその鍵を渡したという貴殿ご自身の行為によって、フィリピンのことはフィリピンの現地法人が処理すべき事柄であって、法人格の異なる日本のトヨタ本社の問題ではないという貴社の脆弁は、全く欺瞞的で完全に破綻していることを、素直に認めるべきであるということであります。

 第4に、2020年の東京オリンピックパラリンピックに向けて日本組織委員会はILOとの間にディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進することを目指した合意書を取り交わし、これに基づき「持続可能性に配盧した運営計画」や「持続可能性に配慮した(物品・サービスの調達に関する)調達コード」を定めていることであり、これらはそのなかで「結社の自由(=団結権)と団体交渉権を尊重する」ことを、はっきりと謳っていることであります。

 第5に、スポンサーとしてまた物品・サービスのサプライヤーとして東京オリンピックパラリンピックに大きな役割を果たそうとしている貴社は、このような動きを十分認識されているはずであり、それゆえにILOの団結権条約・団体交渉権条約に従うことを高らかに宜言すべきであるということであります。

 第6に、これらのILO条約に従う以上は、フィリピンの子会社のILO条約違反に関しても本社である貴社が、フィリピントヨタ社がILOから受けている是正勧告に従うことを実行しないかぎり筋が通らないのであって、フィリピンの法律・最高裁判決に従いさえすればILOの条約・勧告には従う必要はないという貴社の論理は、東京オリンピックパラリンピック組織委員会がILOとの合意のもとに打ち出している姿勢に全く逆行するものであるということであります。

 第7に、私達がILO勧告に従って本件長期争議を早急に解決してほしいとの趣旨のもとに、毎年貴社の豊田市の本社に平和的に申し入れに赴く際、貴社の総務部がとられる対応は、抗議・要請書簡の受取りすら拒否する、対決姿勢丸出しの全く頑迷固陋なものであり、このような対決的姿勢を止め、まともな対応をするよう徹底していただきたいということであります。

 第8に、私達が貴社の元町工場に働く従業員・労働者の皆さんに貴社の敷地外で私達の訴えを記したビラを手渡すことに対しても、貴社はこれを受取る人たちを監視し回収するなどの不当な圧迫を加えていますが、団結権尊重の立場からこのような不当な圧迫を加える行為を止めるべきであるということであります。

 以上抗議すると共に貴殿の賢明なるご判断ご決断を心から要請致します。



#ShameOnToyota