トヨタ03/ フィリピントヨタにおける長期労働争議の解決に関する抗議および要請の件(2018年2月)



2018年2月13日
トヨタ自動車株式会社

                           フィリピントヨタ自動車労働組合
                           フィリピントヨタ労組を支援する会
                           フィリピントヨタ労組を支援する愛知の会

フィリピントヨタにおける長期労働争議の解決に関する抗議および要請の件


 私達は、貴社フィリピンの現地法人において、一般従業員が国際条約およびフィリピン労働法に基づき組合を結成し、かつ労働雇用省から団交権を有する組合として認証されたことを敵視して、大量解雇を強行したことに断固として抗議します。そしてまた、貴社が、「本件解雇は国際労働基準に照らして不当であるから解雇を取消し原職に復帰させるか、それに代わる適圧な金銭補償をして解決するように」との、国際労働機関(ILO)からの再三にわたる勧告に従わず、本件争議を長期間未解決のまま放置し、もって解雇者と家族の闘いの自滅をひたすら待っているとしか思えない、世界のリーディング・カンパニーであることを自負する企業にあるまじき非人道的・反倫理的態度を取り続けていることに対し、断固抗議します。さらに、昨年の夏以来、本件の解決を求める私達の要請に対し貴社がとっている全く奇妙かつ不可解な一連の動きに対し、具体的事実を指摘しながら以下のとおり抗議します。

 即ち、貴社の現地法人=フィリピントヨタ自動車の、貴社から派遣されている鈴木社長が解決の要請に真摯に対応してこないことに対して、ついにフィリピン政府労働雇用省シルヴェストレ・ベロ長官が、貴社内山田会長に書簡を送って解決の決断を要請しました。貴社は私達の指摘と要請を無視して当初長い間この書簡が来ていることを認めようとしませんでしたが、日本政府筋と言ってもよい経済協力開発機構日本連絡事務所=OECD-NCP(外務省・経産省厚労省が担当し、外務省が主幹事となっている)からの指摘を受けて、受領してからおよそ50日経ってから、やっとベロ長官宛てに回答書簡を出してきました。

 その回答書簡の出し方たるや、当時まだ取締役にもなっていない、常務執行役員のアジア・中東・北アフリカ本部長福井弘之氏と名乗る人物が、「内山田会長に代わって自分が回答する」と言って出してきたのです。これは一国の大臣が貴社の代表取締役会長宛てに丁重に書簡を寄越しているのに対して、あまりにも国際儀礼を失した振舞いではありませんか。

 そしてその回答書簡の内容たるや、要旨「フィリピン国内の問題であるから当該現地法人であるフィリピントヨタ社に対して提起すべき筋合いのものである。これは当社の確立した方針である」というものでした。フィリピンの大臣が形式上はフィリピンの国内問題であることぐらい百も承知のうえで、それで問題が解決しないために親会社に辞を低くしてお願いしているというのに、余りにも傲慢不遜な物言いです。そもそも、「現地の事は現地で」という言い方で拒否するなら、どうして受取ってから直ぐに回答をせずに50日間も放置しておかなければならなかったのでしょうか。タライ回しもタライ回し、全く酷いタライ回しもあったものです。

 ところがです。10月16日付で回答書簡を出した福井氏は、トカゲの尻尾切りのように、今では既に常務執行役員と本部長の役職を解任されてしまっているのです。この解任は、1月1日発効として、11月28日に発令されているのです。このように福井氏が既にお役御免となることが明らかになっているのに、トヨタ本社は12月25日にOECD-NCPを訪れ、その公表されている福丼氏解任にかんする事実をひた隠しにして、回答書簡に対してベロ長官から返事が来ないなどと言って、心配している振りを装っているのですから、全くあきれたものです。随分欺瞞的なやり方をするものではありませんか。なるほど、福井氏の回答書簡には、ベロ長官書簡はフィリピントヨタ社に「適切な処理をするよう求めて(英語の原文 for its appropriate handling)回した、とは書かれてはいます。それならば自分は退任することになったが、本件については後任者にきちんと申し送りをしたので、後任者が最終解決までしっかりと見届けるはすである、何か問題があれば同人に言って欲しい旨を、べ□長官に伝えるようフォローアップすべきではなかったのではありませんか。なお、貴社の社告によれば1月1日以降その後任者は、常務役員の松田進アジア本部長ということが分かります。

 勿論、たとえ福井氏が松田氏にそのような申し送りをしていなくても、また松田氏がそのような申し送りを受けていないとしても、それで松田氏の、さらには会社としての、また会社の代表取締役としての貴殿らご両人の責任が、消えて無くなるわけではあません。なぜならば、代表取締役である内山田氏に代わって福井氏が「適切な処理をするよう」フィリピントヨタ社に申し渡したという事実は、会社が、そして代表取締役が、引き受けた責任であるからです。

 私達は、貴殿らがご存知ないかもしれませんので、念のためここに福井氏がフィリピン政府労働雇用省のべロ長官宛てに出した回答書簡(同省が確かに受領したことを示すスタンブ押印のあるもの)のコピーを添付しますから、確認して下さい。その上で、ベロ長官とフィリピントヨタ社の間の話合いがフィリピントヨタ社側の不誠実な態度により停滞している現状を調べて下さい。そしてこれ以上時を空費することなく問題解決に向けて賢明なる判断と迅速な措置をなされますよう、衷心より要請致します。

 よろしくお願い申し上げます。




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