暴走する安倍政権と闘う / 全労協新聞 2017年7月号

暴走する安倍政権と闘う / 全労協新聞 2017年7月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より




暴走する安倍政権と闘う

改憲阻止!共謀罪廃止!
安倍働き方改革を許すな!


六月二十一日、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を含む改正組織的犯罪処罰法が公布された。「中間報告」という、政府・与党の強引な国会運営で、労働者、市民の反対の声を強引に押しつぶした。

通常国会開会直後の衆議院本会議で安倍首相は「共謀罪」法を成立させる必要性について、東京五輪に向けて、「テロ対策に万全を期すことは開催国の責務」であると強調した。そして政府は、テロ防止に「共謀罪」法は不可欠だと説明した。

共謀罪創設法案は過去に三度廃案になった経緯があり、今回は国民が反対しづらい「テロ対策」をもち出した。

国会では「一般人が対象になることはない」と金田法相は繰り返し答弁したが、「双眼鏡を持っているかどうかで犯行現場の下見か花見か区別する」「キノコ採り」が対象になることなど、笑い話ではなく、警察が「一般人ではない」と疑えば誰でも捜査対象になり得る。

二〇一三年の特定秘密保護法案審議中、自民党のある幹部が「単なる絶叫戦術は、テロ行為とその本質においてあまり変わらない」と、デモをブログで表現した。実際は、法成立前から、警察がマークする人物は何も知らないまま監視されてきた。警察は事前に計画を知るには、これまでよりもさまざまな手段によって内容を把握する必要がある。共謀罪の創設によって「監視社会」を招き、その運用が警察に委ねられると「一般人が巻き込まれる」監視強化が懸念される。

そもそもテロに対する市民の恐れを利用し、テロ対策が目的でない国際条約への加盟を口実に成立を押し通したが、国会審議を通じ、条約がテロ防止目的でなかったことが明らかになった。そしてその先に憲法改「正」の策動がある。言論による正当な政治批判や、人権、環境保護などを訴える民衆の表現活動を「共謀罪」の対象にしてはならない。

改憲阻止の闘いとともに、そしてこの闘いのなかで「共謀罪法」廃止に向けた闘いを強化していかなければならない。

今のところ「モリ・カケ」問題があって秋の臨時国会が招集されるのかどうか定かではないが、しかし間違いなく次の国会には「働き方改革実行計画」が提案される。安倍政権と財界が企図する「働き方改革」は、日本を「世界一のビジネスができる国」の実現にあることはいうまでもない。


許さない!
解雇金銭解決


その一つが、これまでに議論されてきた解雇無効時の金銭救済制度の在り方についてである。厚労省で五月に開催された、第一八回「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」に事務局報告書が提出された。この「報告書」をたたき台に、解雇の際に金銭で解決する「不当解雇の金銭解決制度」導入について、厚生労働省は今年夏にも法改正に向けた本格的な検討を開始するとしている。

「報告書」は、制度について検討会で賛成反対の意見があったことを述べているが、「労働者の多様な救済の選択肢の確保等の観点からは一定程度認められる」と、金銭解決を前提に進めようとしている。そして解決金の水準は、「上限、下限等を設定することが適当」とされ、制度運用は解雇された労働者側の申し立てを原則とし、企業側の申し立ては「現状では容易でない課題があり、今後の検討課題」とされている。

いまでも解雇争議は後を絶たない。このように、「わずかな金銭」で労働者の首切りが、簡単にできることになれば、労働者は安心して働き続けることができない。

全労協議長
金澤壽)