戦争は民衆の犠牲の上に成り立つ / 全労協新聞 2017年7月号

戦争は民衆の犠牲の上に成り立つ / 全労協新聞 2017年7月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より




静岡県共闘
戦争は民衆の犠牲の上に成り立つ

三島ふれあいユニオン仁杉秀夫


一九四四年生まれの私には、知る「憲法」は現在の憲法であり、戦争の実体験は全くない(空襲警報が鳴ると、母親におんぶされ竹やぶに逃げたと聞く)。しかし、私の周りにも戦争の被害者は数多くある。

その一つに従兄弟がC級戦犯で、巣鴨で服役する事態があった。従兄弟は、私たちにもこの件で多くを語らず昨年亡くなった。それでも私は法事などの時に、本人に何回となくこの件で尋ねた。

従兄弟は英会話が少しできたため、内地の捕虜収用所の監視であった。そこに米のB29搭乗員が収容され、その若者に従兄弟は手を掛けた。戦後に静岡県の戦犯第一号として旧清水署に収容され、裁判のため巣鴨に送られている。求刑は死刑であったが、裁判で無期懲役の判決。

私は従兄弟に「捕虜に何をしたの」と聞くと、刀(?)を振りかざすそぶりをした。捕虜の安否を聞くことはできなかったが、C級戦犯の判例からすると、「死刑の求刑」では殺したかもしれない。

最近従兄弟の娘さんから、「父親は上司の命令があったが上司は否定し、罪を全て被った」と言っていたことを聞いた。

一九五一年の対日講和条約締結時の恩赦を求めたが、裁判での米側の判事が責任者で「ヒトスギ、オー・ノー」と一蹴されたが、次の恩赦で解放された。

私は米の若者も、従兄弟も戦争の被害者だと思う。先の戦争では、世界中で五千万人~八千万人が被害者だと言われる。戦争は民衆の犠牲の上に成り立つもの。

戦争法案が成立し、今度は共謀罪の法案が今国会での審議が始まり、「戦争ができる日本」に突き進んでいる。

共謀罪は戦前の治安維持法(一九二五年制定)だと言われる。この法律ができて以来、国民の自由を奪い戦争に反対する思想や意見を封じた。そして戦争に進んだ。歴史に学び、過去の失敗を繰り返してはならない。民衆の底力で、共謀罪を廃止に追い込もう。