福島・沖縄に重なる満蒙開拓平和記念館 / 全労協新聞 2017年6月号

福島・沖縄に重なる満蒙開拓平和記念館 / 全労協新聞 2017年6月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より

全労協女性員会

福島・沖縄に重なる満蒙開拓平和記念館



四月二十二~二十三日にかけ、長野県阿智村満蒙開拓平和記念館」を訪れる旅に参加し、語り部の久保田諫さんに満蒙で体験したことをお聞きすることができた。単身で渡満し、終戦後、集団自決に追い込まれたという。当時十五歳の自分と耳の不自由な青年とで、子どもやその母親たちが死ぬのを手伝い、最後には、お互いに握った石で額を殴り合って死のうとしたことや、意識が戻り帰国するまでの地を這う体験には想像が追い付かないほどだった。額に深々と残る傷跡とともに穏やかにその悲惨な体験を語っていただけたことにただひたすら感謝した。

記念館では、年表、啓蒙ポスターなどから国策の状況が伝わってきたが、体験者の、「全員を生きて帰らせる」または「全員で死のう」という指導者の決断が開拓団の生死を分けたというような言葉が印象的だった。国策だ、村の為だ、夢のような世界が待っているという幻想を抱かされ、終戦になった途端に手のひらを返して切り捨てられた開拓団の人々の話は、福島や沖縄に重なるものがあると感じる旅だった。

(全国一般三多摩労組渡辺香織)