安倍政権の改憲策動、共謀罪強行、労働法制改悪を許さない! / 全労協新聞 2017年6月号

安倍政権の改憲策動、共謀罪強行、労働法制改悪を許さない! / 全労協新聞 2017年6月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より




安倍政権の改憲策動、共謀罪強行、労働法制改悪を許さない!


安倍首相は、日本国憲法施行七〇年を迎えた五月三日、日本会議が主導する美しい日本の憲法をつくる国民の会の集会にビデオメッセージを寄せ、「二〇二〇年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明した。これはこの国の「かたち」を根本的に改めるということを表明したということにほかならない。

改正項目として九条を挙げ、九条の一項、二項(戦力の不保持と交戦権の否認)は残しつつ新たに自衛隊の存在を加えるという。これを自民党は挙党態勢で臨み、年内に憲法改正原案をまとめる方針であるといわれている。

これまでも「憲法改正」の布石として「震災」などを口実に「緊急事態条項」の導入を図ろうとしてきた。たしかに自衛隊は、災害救助活動などで「高い評価」を受けているとされている。だが、昨年施行された安保法制で自衛隊集団的自衛権の行使が認められた。新たな条文の追加で二項が空文化し、自衛権行使の範囲がさらに拡大するおそれがある。

むしろ憲法は、格差と貧困に喘いでいるわれわれにとって、平和や生活や労働、社会保障等々に生かしていかなければならないはずだ。

国会内の議席だけをみればたしかに自公維三党は圧倒的な多数派だが、朝日新聞世論調査によると、九条改正必要が四一%、それに対して必要でないは四四%で、九条改正に否定的な人たちは決して少数派ではない。

一方改憲への布石ともいえる、犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」法案が五月二十三日の衆議院本会議で、自民、公明、日本維新の会など三党の賛成多数で可決された。安倍政権は、「過去の共謀罪とは違う」と主張し、「条約締結のために」「国際テロ防止」「東京五輪パラリンピック開催」にとっての「共謀罪」の必要性を強調し、名称を「テロ等準備罪」に改めた。そして、「一般の方々が適用対象となることはない」「内心を処罰するものではない」と繰り返し強調している。が、しかし、内心の自由を侵し、捜査権限の拡大など法案の本質は変わっていない。

そもそも、「準備行為」とは何か。金田法相は「花見であればビールや弁当を持っているのに対して、下見であれば地図や双眼鏡、メモ帳を持っている」(四月二十八日の法務委)などと、外形的な状況で判断できると述べた。これでは捜査機関による解釈次第では民間団体や労働組合などの「一般の団体」が捜査対象になる可能性がある。

共謀罪」法案は参議院に送られるが、労働者・労働組合の活動を監視し抑圧する「共謀罪」は絶対廃案に追い込まなければならない。

「解雇の金銭解決制度」について、今夏から厚労省労働政策審議会で、法改正に向けた議論が始まろうとしている。これは裁判で解雇が無効と判断された判決と同時に、会社が解決金額を示して支払われ、雇用契約が終了する仕組みだが、金銭さえ払えば解雇できるようになる。これは解雇規制を根底から覆す制度で、この制度の導入はリストラなどで容易に労働者に退職を迫るとともに、企業にとって都合の悪い労働者を排除することを許すことになりかねず、到底容認できない。

「過労死の合法化」ともいえる残業時間の上限規制「月一〇〇時間未満」などとともに、安倍政権が掲げる「働き方改革」は、やはり「働かせ方改革」なのであって、この解雇規制を根底から覆す解雇の金銭解決制度の法制化に断固反対し、導入阻止のための積極的な闘いが求められている。

(金澤壽議長)