次の時代と切り結ぶ労働運動をつくろう / 全労協新聞 2017年5月号

次の時代と切り結ぶ労働運動をつくろう / 全労協新聞 2017年5月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より



直言
激論


次の時代と切り結ぶ
労働運動をつくろう


渡辺学
全労協青年委員会代表幹事



昨年八月二日、厚労省は「働き方の未来…一人ひとりが輝くために」を発表した。前日の八月一日には経済同友会が「新産業革命による労働市場パラダイムシフトへの対応―『肉体労働』『知的労働』から『価値労働』へ―」を発表した。

二〇年後の働き方について、AI(人工知能)の発達によって多くの産業・職業がコンピューターに置き換えられて「アライアンス」(業務請負個人事業主)という働き方が世界的に拡大され、「自律的で自由な労働者」が企業と対等な関係を結ぶという近未来像が提言された。さらに、戦後的な労働者保護法制や労働組合は実態と合わなくなるので変えていくべきだと挑発的な主張もされている。

一九九五年、当時の日経連は「新時代の日本的経営」を出した。それから二〇年以上が経って、産業構造の変化と技術革新もあって雇用のあり方は大きく変わり「雇用柔軟型グループ」=非正規雇用が増大した。これからの二〇年、三〇年はどうなっていくだろう?労働運動が社会的な力を獲得していた時代から活動してきた諸先輩方が引退していくなかで、運動の力はこのままでは弱くなっていく。資本の側が中長期的な展望を持って攻撃をしかけてくるのだから、わたしたちも五年後や一〇年後を見据えた運動の内容を準備していく必要がある。

安倍政権は働き方改革のなかで「一億総活躍」とスローガンを掲げた。その内実は、少子高齢化による労働市場の人手不足を補うために、女性、高齢者、外国人、障害者といった層の人々を最賃並みの低賃金で労働市場に放り込んでいくということだ。そういう人びとを組織して運動を前進させ、かつそこで組織された人たちが労働運動の政策決定の場に参画できるように意識的に取り組んでいかなければならない。安倍政権下で情勢の進むスピードは早い。「次」の時代と切り結んでいける労働運動を現実につくりだしていくために試行錯誤していきたい。