民営化を促進する水道法改正にNO! / 全労協新聞 2017年3月号

民営化を促進する水道法改正にNO! / 全労協新聞 2017年3月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より

直 言
激 論


民営化を促進する水道法改正にNO!



全労協常任幹事
全水道東水労教宣部長
中川崇


一月二十日、米国でトランプ氏が大統領に就任した。差別排外を声高に叫ぶ同氏へは就任に対するカウンターアクションも大きく行われ世界の注目を集めた。しかし、日本ではそれ以上にTPP(環太平洋経済連携協定)の動向に注目が集まっていた。トランプ大統領は公約通りTPPの永久離脱の署名を一月二十三日に行いTPPの発効は難しい状況にある。しかしTPPだけが問題なのではないことをみておかなければならない。現在、日本が交渉参加している大規模な自由貿易協定(メガFTA)は、世界二五カ国の国と地域が含まれる新サービス貿易協定(TiSA)や日欧経済連携協定、インドとASEAN十カ国を含む東アジア経済連携協定(RCEP)がある。また米国は日本と二国間の貿易協定を考えているとも言われている。トランプ氏の当選直後、外交儀礼上あり得ない訪米をした安倍首相がまったく動じていない事に注意しなければならない。

二月十日、日米首脳会談が行われた。当初、米国は麻生財務相の同行を求めていた。異例な米国の要請の背景には米国債をはじめとする金融問題があると言われているが、もう一つ指摘されているのは、麻生財務省が四年前に米国を代表するシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)での講演で、「TPP加盟により、日本の各自治体の水道事業はすべて民営化」と発言したことである。

今国会で水道法改正案が審議入りしようとしている。法改正の目的として、老朽化する水道施設の維持・修繕や更新の推進を掲げているが、それと合わせて水道事業の広域化と、民間活力の導入を推進する目的で公共施設等運営権(コンセッション)方式を法制化しようとしている。コンセッションの導入にあたっては、民間企業の参入を促すために、災害や事故等のリスク対策は「公共」が担い、運営で発生する利益は「民間」へ振り分ける「上下分離型」の民営化である。国鉄分割民営化から三十年のいま、新たな民営化攻撃と対決する取り組みを地域から行っていかなければならない。