公共サービス民営化反対 / 全労協新聞 2016年12月号

公共サービス民営化反対 / 全労協新聞 2016年12月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より




直言 激論

公共サービス民営化反対
反グローバリズムの闘いを



環太平洋経済連携協定(TPP)承認案・関連法案は、多くの人びとが国会の内外で反対する中で十一月十日に衆議院を通過した。この暴挙に怒りを禁じ得ない。TPPは、貿易の自由化の視点から農業分野がクローズアップされてきたが、TPPの本丸は非関税=サービス分野と言われている。医療・保険のみならず、日常生活すべての分野(サービス)を自由化するものである。

水道・下水道については、ネガティブリストにより「留保」していると言われているが、未来永劫「留保」される保障はない。TPPの極めて問題点として「ラチェット条項」と「投資家対国家紛争解決メカニズム(ISDS)」がある。投資家の投資家による投資家のための自由化といわれるTPPは極めて問題がある。

日本では少子高齢化社会による人口減少が避けられない中で、水道事業でも水需要の減少、料金収入の減という問題が直面している。また多くの施設が更新時期を迎えている事や耐震化が求められていながら、予算の関係で進んでいない。また、行政改革と人員削減により、人材育成・技術継承が困難な状況が明らかになる中で、解決の方策として「民営化」が浮上している。TPPを契機に公共サービスの民営化が進行する状況にある。

しかし、世界の趨勢は水道事業の再公営化に動いている。株主の配当のために利潤を追求する多国籍企業の暴挙に、世界各国で民衆が立ち上がった。「水は人権」を合い言葉に展開されてきた水道民営化反対の闘いは、それまでの「水は経済財」と主張する多国籍資本を追いやり、国連総会で「衛生的な水にアクセスする権利は基本的人権である」ことを認めさせてきた。いまや世界の一八〇を超える自治体で、水道再公営化が進んでいる。その原点は、徹底した住民自治と民主主義であり、その中にしっかりと労働組合が入っていることである。それぞれの地域にこだわった広範な反グローバリズムの闘いをめざしていかなければならない。