労働組合の連帯と団結で課題を是正する行動を / 全労協新聞 2016年11月号

労働組合の連帯と団結で課題を是正する行動を / 全労協新聞 2016年11月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より


直言
激論

労働組合の連帯と団結で
課題を是正する行動を



 若者は、安定した収入を得て家族を持つことができるのか、不安と切羽詰った感覚にさいなまれている。

若い母親は、育児と仕事の両立に疲れ、子育ての悩みを抱えて途方に暮れている。進学期の子どもを持つ親は、学費の工面に頭を痛めている。何とか定年まで仕事を続けても、老後の暮らしをどう賄うのか見通しが立たないなど、多くの人びとが様々な不安を抱えながら生きている。

 非正規雇用で働く人は、低い賃金でどう生活を成り立たせるのか苦労し、いつ雇い止になるのか怯えながら暮らしている。その一方で、正規雇用で働く人は、長時間労働とストレスにさいなまれ、健康への不安と身体の不調に悩んでいる。このような状況の中で、人と人の距離が広がり、社会がバラバラになっていく感覚を抱くのは私だけだろうか。

 人と人の絆の弱まりは、子育てを社会が支える仕組みを崩すとともに、仕事と家庭生活の両立が困難な夫婦は子どもを生まなくなる。若者の貧困か非婚化を加速させ、少子化に拍車をかける。希望を失い絶望した人が自らの命を絶つなどの社会現象を生み出す。今を生きる私たちが、このような最悪社会を後世に残すのは罪である。誰もが公正な労働条件のもとで基本的人権が尊重され、多様な働き方を通じて社会に参加できる人間らしい生活を保障しなければ、この国の命運は尽きることになる。

 これまで労働組合か目指し実現してきた労働運動を今一度振り返り、一度崩れてしまった社会的な絆を修復し、将来への希望と安心できる社会に軌道修正しなけれぱならない。そのためには、社会が健全に発展するための重要なインフラとなる労働運動を今後も強化・継承していくことが重要と考える。

 労働組合が社会の仕組みに組み込まれ、様々な不条理に怒り、連帯と団結によって多くの課題を是正する具体的な行動を起こす精神文化の醸成が求められている。