全労協/ 高浜原発再稼働禁止の仮処分決定(福井地裁) / 全労協新聞 2015年5月号

全労協/ 高浜原発再稼働禁止の仮処分決定(福井地裁) / 全労協新聞 2015年5月号


全労協
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全労協新聞
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●高浜原発再稼働禁止の仮処分決定(福井地裁)

脱原発へ歴史的な一歩
原子力村を解体しよう



四月十四日午後二時、福井地方裁判所・樋口英明裁判長は、高浜原発再稼働禁止の仮処分を決定した。その後、市内の会館で記者会見&報告集会が開かれた。開会時にはたくさんのマスコミ関係者と支援者で超満員となり、別室にも市民運動家がいっぱいとなって音声を聞く。

記者会見・報告集会は「大飯・高浜仮処分福井支援の会」の原告でもある松田正・事務担当の総合司会で開会し、「高浜原発三・四号機運転差止仮処分命令を受けての弁護団声明」が「脱原発弁護団全国連絡会、大飯・高浜原発差止仮処分弁護団」共同代表の河合弁護士より発表された。

「福井地裁は、本日、関西電力に対し、高浜原発三・四号機の運転差止めを命じる仮処分命令を発令しました。高浜原発三・四号機については、規制委員会が設置変更許可を出しましたが、本命令によって再稼働することはできなくなりました。司法が現実に原発の再稼働を止めた今日という日は、日本の脱原発を前進させる歴史的な一歩であると共に、司法の歴史においても住民の人格権ひいては子どもの未来を守るという司法の本懐を果たした輝かしい日であると思います。」と、高らかに読み上げられた。

原発が人格権という最も重要な権利を侵害するものであることは去年五月二十一日の福井地裁判決が明らかにしているにも拘わらず、電力会社や政府が無視して原発再稼働を進めてきたことは三権分立にももとる重大問題であるとし、福島原発事故を直視し、「すべての原発の再稼働を断念し、脱原発に舵を切ることを強く求めます」と弁護団声明は結んでいる。

同じく記者会見で、九人の申立人の「声明」も発表された。今大地晴美代表から「山動きたる日来る」という与謝野晶子の『青鞜』創刊号(平塚らいてう主宰)の言葉が紹介され、「原発の裁判の歴史を塗り替えるであろう今日、この日、この時、この場に立ち会うことができたことに感動しています。そして、四月十四日は、普通に暮らす市民の私たちでも、社会を変えることができるのだと実感した特別な日となりました。」と述べ、「フクシマの事故は、若狭とその周辺の住民にとって、決して他人ごとではありません。若狭の地は、リアス式海岸のすぐそばまで山が迫りくるオタマジャクシのしっぽのように細長いところです。そこに一五基もの原発が集中立地している世界に類を見ない場所です」と、子どもたちの未来に思いをはせ、フクシマの事故の収束未だしの問題に心を砕き、「日本中に大きな喜びと感動をもたらしてくださった、樋口裁判長をはじめとする裁判官のみなさまには、どんな言葉をもってしても表しきれないほど感謝しています」と、全国の仲間への闘いを訴えて「声明」をしめた。

今大地さんは嶺南と呼ばれる福井県南部の原発立地地方で、「今まで、思いを外に出せなかった。特に若狭には活断層がたくさんある。ここで『声を出してもいいんだ』と、裁判長が言ってくれた。もっと声を出せる若狭の町にしたい」と決意を表明した。

河合弁護団共同代表は、「今回のような透徹した頭脳と人間の心を持った裁判官が判決を書ける情勢をつくること、第二、第三の樋口裁判長をつくること。原子力村を解体しないといけない。これをテコに止めて見せたい」と結語した。

(稲村守京都総評事務局)