2015/02/10/ 京都労働局交渉

2015/02/10/ 京都労働局交渉


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2015年1月28日
京都労働局長
森川 善樹 様

ユニオンネットワーク・京都
(連絡先省略)

 貴局における労働者の権利擁護にむけた奮闘に敬意を表します。以下の内容で2月10日に申入れをおこないたいと思いますのでご検討ください。


■(1)「適正給付管理対策業務要綱」(京労基発0320第2号/平成26年3月20日)にもとづく症状固定前の事前通知について。

1、過去において、所轄管内において、症状固定の事前通知を行った件数と内容、およびその補償措置を明らかにしてください。

2、被災労働者への事前通知は今後も行うということですが、その必要性はどこにあるのか、被災労働者に労災給付申請をあきらめさせる労働者への事前通知についてもその撤回をもとめます。

京都労働局はきょうとユニオンの仲間に対し、「適正給付管理対策業務要綱」(京労基発0320第2号/平成26年3月20日)に基づき、被災労働者の症状固定(治癒)と給付打ち切りを事業主と被災労働者の両者に事前通知をおこないました。

その結果、被災労働者に不利な事態(事前通知の文言が、被災労働者が請求権を喪失していると誤解されるような表現があったり、復職に際し、「事前通知による症状固定」が就業可能状態と誤解した事業主から配慮のない復帰を強要されたなど)が発生しました。きょうとユニオンや、ユニオンネットワーク・京都は、2014年8月、京都労働局に抗議をおこない事前通知を取りやめるよう要請しました。

これに対し、京都労働局は、事業主への事前通知が不適切であったことは認め、今後、使用者への事前通知はおこなわないこと、「適正給付管理対策業務要綱」の文言の改訂をおこなうことを約束し、後日、実行されました。

しかし被災者労働者への事前通知は継続して行うとしています。また新たに交渉の中で判明したのは、「適正給付管理対策業務要綱」が作成される以前より、京都労働局は給付打ち切りの事前通知を所轄管内の各署において行っていたことです。前述の「不利な事態」が数多く発生してきたことが予想されます。京都労働局の社会的な責任は重大です。

▲参考
2014/08/12 京都労働局 交渉 労災 「適正給付管理対策業務要綱」について
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資料 コミュニティ・ユニオンの要請書 2014年12月
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▲京都労働局の担当者は、組合の側が色々と質問しても、「お答えする必要はないと考えます」的な回答で、誠意のない対応だった。どういう理由で「お答えする必要はない」と「考える」に至ったのかが全く説明されず…。


■(2)最低賃金引上げと違反指導の徹底について

1、最低賃金を時間額1000円以上とすること。

2、最低賃金を下回る求人がみられます。指導の徹底を求めます。

3、京都府の労働者の賃金に関する詳細な調査(時間当たり賃金額、仕事上の身分・雇用形態、性別、年齢別、労働時間、企業規模、職種、世帯状況、副業の有無など)の資料があれば開示願います。

2014年10月から京都府最低賃金は789円になりました。引き上げられたことは評価しますが789円の時給で年間2000時間働いても、年収157万8千円です。とても一人で自活できる水準ではありません。しかし、現実は非正規雇用の増加、周辺的正社員の増加により、最低賃金にはりつく賃金水準で働く人が増加し、「家計補助」ではなく、この賃金で生計を立てている人たちが増加しています。さらに、消費税増税社会保険料などの負担増が低所得層を直撃しています。

年収200万以下の低所得層では所得のほとんどが日々の生活のための消費に当てられています。消費税増税の影響は支出のほぼ100%に近い数字になります。税金の増加分だけ考えても2014年10月以前の最低賃金773円からすれば、23円以上賃金があがらなければ、以前と同じ生活水準は維持できません。さらに、社会保険料やインフレの影響を考えると、現在の最低賃金の水準は極めて不十分としか言えません。

早急に、時給で1000円以上に引き上げることを求めます。

▲参考
最低賃金、公契約 2011-


■(3)労基署における就業規則の開示要請について

1、雇用関係にある、あるいは解雇、退職し当該事業所と権利義務関係にある労働者については就業規則の速やかな開示をおこなうとともに、基発354号(3-(3))の形式的運用を行なわないでください。

 昨年の労働局との交渉において就業規則の周知徹底について可能な限り労働者が利用しやすい形で周知徹底を図ることを申入れ、労働局もまたそれを了解しました。その際、会社が就業規則を労働者、とりわけ解雇した労働者には就業規則をなかなか開示しない現状があることを指摘し、「基発354号」にもとづき速やかに開示する様に申し入れ、労働局はその主旨を理解したと考えています。

 しかしながら解雇された我々の仲間が2014年4月に下労基署に就業規則の開示を求めた所、普通解雇部分だけが開示され、懲戒解雇部分は開示されませんでした。担当者からは「根拠規定がないので基本的に見せられない」と拒否されています。弁護士からの要請もあり、再度、訪れ閲覧を要望しましたが懲戒解雇部分は開示されませんでした。

 「基発354号」では3-(3)では、「退職労働者に対する就業規則の開示に当たっては当該退職労働者と当該事業場との間の権利義務関係に係る規定に限定すること」とありますが、当人は解雇を争っているのであり、当然のことながら懲戒解雇の内容も関係を有していると考えます。

 在職中は職場で閲覧できなかった不当解雇された労働者が就業規則を見て、自らの未払い賃金を発見するなど、就業規則の閲覧ではじめて自らに対する不利益扱い、労基法違反などを知ることも珍しくありません。

届出事業場に所属する労働者等からの就業規則の開示要請の取扱いについて
基発第354号 平成13年4月10日

▲「個別のケースで労基署の対応に問題があれば、労働局に来てください」的な回答だった。


■(4)労働法制改悪について

①安倍政権による労働規制の緩和に反対する。
安倍首相は、「世界で企業が活動しやすい国にする」と称して労働規制の緩和を主張しています。戦後の労働者保護法制を解体し使用者の有利なものへと抜本的に転換しようとするものです。貧困の拡大、長時間労働の蔓延、過労死、ブラック企業の蔓延など、必要なのは労働規制の強化による労働者保護です。

②労働行政を担当する職員の増員を要請する。
労働規制を強化するのみならず、労働基準監督官などの監督行政に携わる職員の増員を要請します。

③労働者派遣法案の廃案を要求します。
今、通常国会において労働規制緩和の象徴として3度目の派遣法改悪がもくろまれています。「臨時的、一時的なものに限る」ことを条件としていた派遣労働を、企業が恒常的に使い続けることができるようにするものです。雇用安定も、均等待遇も、派遣先企業との団体交渉権も補償しない「生涯派遣」ともいえる、無権利で企業が好きに使える労働者を大量に作り出すことにつながります。

④いわゆる残業代ゼロ法案に反対し廃案を要求します。
今、通常国会に労働規制緩和のもう一つの目玉として残業代ゼロ法案の成立がもくろまれています。低賃金ゆえの長時間労働、過労死、ワークライフバランスの乱れ、それらによる社会の荒廃などが何の解決もされていないときに、残業代はそれらに対する数少ない歯止めになっています。年収要件などは時間と共に空洞化されるのは時間の問題です。

以上

▲参考
全労協新聞



▲最後に、何度も労基署に相談に行かれたことのある参加者から、「労基署に相談に行っても、対応する人によって、全然違う。親身になって聞いてくれてアドバイスしてくれる方と話した時は、頑張ろうと。逆に、もめ事を起こして欲しくないというような態度を示された時には、逆の気持ちに。また、相談していて、時々、監督官に聞いてきます、ということで、対応している人が、どういう人なのか分からなかったり。とにかく、一大決心をして労基署に相談に行っているのに、対応がバラバラ、その辺りはどうなっているのか?同じような対応になるように、きちんと指導して欲しい」といった意見も出された。


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2012年1月24日 京都労働局交渉 ユニオンネットワーク京都