全労協/ コラム 公務員労働組合の課題 / 全労協新聞 2015年1月号

全労協コラム 公務員労働組合の課題 / 全労協新聞 2015年1月号


コラム
疾風

情勢をつかみ闘う陣形を
公務員労働組合の課題

全労協副議長
和田隆宏

公務員労働組合運動は、常に政治的な動向の直接的な影響を受け、特に賃金闘争では正面からこれとの対決を迫られてきた。とりわけて、この二年間の安倍政権の下、政治主導による公務員総人件費削減攻撃との闘いの連続であった。国家公務員については、二〇一二年四月から二〇一四年三月まで二年間平均△七・八%もの給与減額措置を実施したが、これについて復興財源確保を主目的とすることから、地方公務員へは波及させないとした民主党政権時の総務大臣の国会答弁を覆し、地交付税等を削減して二〇一三年七月以降地方公務員と教員の給与削減を露骨に強制したのは、安倍政権であった。

昨年、国・地方を通じ公務労働組合が闘った「給与制度の総合的見直し」についても、政治指導による政権と人事院の合作というべき性格が濃厚であったといわざるを得ない。「給与制度の総合的見直し」は、地域間の給与配分を見直し、地方勤務の国家公務員の給与を地域地場民間賃金と「均衡」させるとして、本年四月から俸給表を平均で二%引き下げ、民間賃金の高い大都市勤務を中心に、東京二三区部の二%を最大として地域手当を引き上げるとした。そして、総務省が、国家公務員同様に各自治体における地方公務員の給料表を二%引き下げることを強要したことに対して、地方の公務員労働組合は闘ってきた。政権と政府の狙いは、特に地方公務員の給料表を二%引き下げることを前提に地方交付税の算と交付を行うことによって、来年度以降、相対的に国庫の収入増と地方への配分減を実現し、同時に地方財政対する国家統制を強める側面があることは明らかである。

衆議院選挙に先立って昨年十二月に自民党が示した「政策集2014J―ファイル」では、「国家公務員制度改革は大きく前進」したと総括した上で、さらなる公務員制度改革の中心に「能力・実績主義に基づいた評価による信賞必罰の処遇と人事を厳格に実行し、真に頑張るものが報われる制度を確立」することを掲げている。ここに具体的な削減目標などは明記されていない。しかし、これまで掲げてきた「公務員総人件費を国・地方合わせて年間二兆円削減」(J―ファイル2012)などは、すでに昨年七月に閣議決定された「国家公務員の総人件費に関する基本方針」「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」に盛り込まれていると見ておくことが重要である。

この閣議決定は、「能力・実績の給与への一層の反映」「給与カーブの見直し」等の推進、「概ね五年ごとに退職手当支給水準の見直し」など、公務員給与に対する新たな攻撃をあからさまにしている。さらに定員管理に関して、来年度以降「五年ごとに基準年度を設定」「毎年二%(五年十%)以上を合理化することを基本とする」として、「日本再興戦略改訂2014」の「公務員改革」における合理化方針を反映させ、給与・退職手当の削減と定員合理化による一層の総人件費削減攻撃を狙っていることは歴然としている。

政治主導の狙うところと情勢をより的確につかむことに努めつつ、早急に闘う陣形を整えることが公務員労働組合の課題である。