過労死促進・残業代ゼロの労働時間制度破壊を許すな / 全労協新聞 2014年6月号 1面から



労働者派遣法改悪案を廃案に
過労死促進・残業代ゼロの労働時間制度破壊を許すな
労働者の怒りの声で6・5国会包囲を成功させよう


政府はすべての労働者・労働団体の反対を無視して、労働者派遣法の全面改悪案を今国会に上程した。この派遣法改悪案は、派遣労働の全面自由化によって派遣先企業はなんの制約も受けることなく、自由にいつまでも使い続けることができるものに変更しようというものである。業務内容や仕事に限定されることもなく、三年を区切りとするものの、労組への報告だけで繰り返して「使用」し続けることができることにしようというものである。即ち、派遣労働者にとっては低賃金で無権利の「派遣労働者」に生涯縛り付けられ、また、正規職労働者はいつでも派遣労働に置き換わられて「正社員ゼロ」の時代が到来することになろうとしているのである。

リーマンショックによる大量の派遣切りは、派遣労働者の過酷な労働実態を誰の目にも明らかにした。そして派遣労働者を中心とする非正規労働者の処遇改善は政府の喫緊の課題とされたのである。こうした事態を創り出してきた自公政権への批判は民主党中心とした政府への交代を求めてきたのである。しかし、二〇一二年、再び自民公明党政権が誕生し、第二次安倍政権が登場するとアベノミクスと称してすべての政策は企業優先、特に大企業の為の政策へと転換され、その中心政策の柱に「雇用の規制緩和」がすえられ、労働者の権利破壊が進められてきたのである。二〇一二年、派遣労働者保護のための法改正はその実施も見ないままに、一八〇度転換て、「生遣、正ロ」法案として成立させられようとしている。労働者派遣を成立させるのか、阻止することができるのか文字通り、労働者の生活と権利をる闘いの大きな転換点になる。遣法全面自由化阻止のために大きな闘いを創り出そう。


長時間労働促進する
安倍の暴挙を許すな

安倍首相は派遣労働の全面自由化、労働者の非正規化を推し進める一方、更に労働者成果主義という大きな網によってからめとり、長時間労働・過労死を促進し、労働時間制度を破壊して「残業代ゼロ」の働かせ方を強行導入しようとしている。

四月二十二日、政府の経済財政諮問会議と、産業競争力会議は合同会議を開き、民間議員である長谷川閑史経済同友会代表幹事・武田薬品社長から産業競争力会議の雇用人材・分「個人と企業の成長のための新しい働き方」と題する提言が行われた。その骨子は①多様で柔軟な働き方を可能にす出、②労働時間ではなく成果による労働管理を提唱している。提「経済つ真面目な個人や企業の活動を過度に抑制することのない策」を求る。そ能力を最大限活用するための「一律の労働時間管理がなじまない働き方に対応できる多様で柔軟な新たな労働時間制度が必要である」としているのである。

この新たな労働時間制度とは業務遂行・健康管理を自律的に行おうとする個人を対象に、法令に基づく一定の要件を前提に「労働時間ベースではなく、成果ベースの労働管理を基本(労働時間と報酬のリンクを外す)とする」働き方として、業務の遂行に個人の自由度を可能な限り拡大・・・というのである。即ち、「成ろ!過任」というのである。労働時間管理を労働者に押しつけ、それぞれの成果によって報酬を払うというものである。経営者として労働時間管理と労働者の健康に責任を持ち、労働時間に見合った報酬を支払うという基本的な労働時間制度を破壊して、労働者相互を成果で競い合わすことによって利益を拡大しようとするものである。労働者は「成果」のために文字通り身を粉にして働くことを強要され、無賃金のままに自己責任という隘路に押し込められるのである。

安倍首相は第一次安倍内閣に、「自度」と称して導入を図ろうとた。しし、「過法」、「残業代ゼロ法」案と激しい批判を浴び、すべての労働団体がこぞって反対運動を展開し廃案に追い込んだ労働法制改悪の焼き直しである。にもかかわらず、この提言に対して、安倍首相は労働法制は成長戦略を疎外する岩盤規制であるとして自らをドリルにたとえて「時間ではなく成果で評価される働き方にふさわしい、新たな労働時間制度の仕組みを検討していただきたい」と指示を出し強行することを宣言している。

私たちは労働者派遣法全面改悪案を必ず廃案に追い込むと共に、労働時間制度の破壊を阻止する闘いに全力で勝利しなければならない。この労働法制改悪に反対する闘いは「安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション(雇用共ン)」と連やMIC、中立労組など労働団体の枠を超えて取り組まれてきた。すべての労働者の声を国会に届け、労働者保護のための労働法制を確立させていこう。

六月五日(十八時半~二十時/衆前)、私る大行動に取り組む。一人でも多くの仲間が国会を包囲する闘いに結集し、勝利に全力をあげよう。



(F)