この事件は、二〇〇九年、「県民厚生会」が運営する福祉施設「きらら藤枝」の施設長だった宮田さんが、施設内での理事長や専務理事らによる目に余る不正を、静岡県当局の要請により公益通報。その結果、理事長、専務理事らによる陰湿なパワハラを受け、適応障害となり休職…施設長からの降格…そして、休職期間の満了により、解雇された事件である。宮田さんは二〇一一年労災認定を得ている。
宮田さんがこの訴訟で訴えていたものは、
①解雇の不当性
②降格処分の不当性
③未払い賃金の支払い
④パワハラに対する慰謝料
⑤割増賃金の支払い
の五点である。
静岡地裁の判決は、
②は、客観的・合理的理由を欠き、人事権の乱用であり無効
③退職処分は無効であるので賃金請求権は失効しない、という内容であった。
残念ながら④と⑤については、宮田さんの主張を退けたが、最大の争点であった、「解雇及び降格処分無効」の判決を得られたことで、評価すべき勝利判決であると受け止めている。
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