仕事中けが・病気 労災認定  読売8/14

 
読売新聞に、労災認定の解説が出ていたので。
 


仕事中けが・病気 労災認定


 仕事や通勤が原因で病気やけがをした場合、労災保険を利用できると聞いたが、どんな制度ですか?

無料で治療 賃金も補償

 
 工事現場で作業中に転落して大けがをした人や、長時間労働や嫌がらせなど、仕事の強いストレスが原因でうつ病を発症した人は、治療費などが補償される。これが国の労災保険だ。正社員に限らず、パートやアルバイト、契約社員派遣社員などすべての労働者が対象となる。
 まず、勤務先を所管する労働基準監督署に請求書を提出、けがや病気が業務などが原因となったことを認めてもらう必要がある。労災認定されると、無料で治療を受けたり、入院したりできるほか、一定の条件で通院のための交通費も全額支給される。
 さらに、療養のため働けず、賃金をもらえない場合、休業4日目から、平均賃金の80%を受け取れる。平均賃金は、直前3か月分の賃金総額の1日あたりの額のこと。例えば、月給20万円の人は6500円程度となり、この80%を休業した日数分、受給できる。
 けがや病気で死亡した場合は、遺族が労基署に申請すれば、葬祭料のほか、平均賃金や遺族の人数に応じた年金での給付、または一時金を受け取れる。ただ、年金や一時金は、死亡翌日から5年を経過すると時効で請求権が消滅する。賃金の補償も休業した日ごとに2年で時効となるので注意が必要だ。
 年間約57万人(2010年度)が新たに給付を受けており、けがが大半を占める。最近は、うつ病などの精神疾患を原因とする、労災の申請や認定が増加している。11年度の申請者は1272人で、労災認定者は325人だった。いずれも01年度と比べて5倍近くに増えている。
 精神疾患の場合、労基署の審査が平均約8・6か月もかかっていたため、厚生労働省は11年12月、精神疾患の新たな労災認定基準を策定した。発病の原因となる強いストレスと判断する具体例として、「退職意思がないと表明しているのに 執拗 ( しつよう ) に退職を求められた」「配置転換が明らかに降格で職場内で孤立した」などと明記し、申請や労災認定をしやすくした。
 労働時間を巡り、会社と主張が食い違うケースもある。そうした場合は、勤務状況や出勤退勤時間を記した手帳や日記などが、長時間労働の裏付けに役立つ。(野口博文)
(2012年8月14日 読売新聞)


 
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