安全な労働環境へ組合は闘う役割が  全労協新聞7月1日4面

全労協新聞7月1日4面
 


●6・13過労死一一〇番プレシンポ
 
安全な労働環境へ
組合は闘う役割が
 
六月十三日、大阪市内で開催された「過労死一一〇番」のプレシンポジウム、「若者を守れ『勝ち組』さえもうつに追い込む労務管理の新たな手口」に参加した。
 
根崎慎介さんの弟さんは、気象予報士の夢を持ってウェザーニューズに就職したが、超長時間労働と強い評価ストレスにより入社後半年で自ら命を絶った。月に二〇〇時間を超える時間外労働とノルマ、上司の叱責が悲劇をもたらしたのだ。根崎さんは二度と弟のような被害者を出してはいけないと訴えた。

集会を主催したNPO法人POSSEによれば、若者を過労に追い込んでいくものに、社員をふるいにかける〈競争排除型〉、使えなくなるまで使う〈消耗使用型〉、職場が崩壊している〈秩序崩壊型〉の三類型があるという。長引く不況の中での就活はまるで人格評価を受けるようだ。何度も断られ自己否定のうちにようやく就職が決まる。そんな若者が権利を主張するのは難しい。
 
講演した木下武男昭和女子大学教授は、過労死が若い層へ広がっていると話した。集会では「過労死防止基本法」の制定を求める運動が呼びかけられた。
 
全国一般東京南部ウェザーニューズ労働組合は、根崎さんの労災認定以後も働かされ方が変わっていないのを契機に結成した。しかし会社はケイン委員長を解雇し、グラント書記長を降格するなど、組合敵視を続けている。根崎さんの同僚として集会に参加したケイン委員長は、「根崎さんの死から学んだこと、心からの哀悼を伝えたい。組合には安全で公明正大な労働環境を確実にするために闘う役割があると思う」と決意を述べた。長時間労働により会社に貢献することはけっして美徳ではない。働き過ぎを支える日本社会の構造を変えなければならない。ライフワークバランスを定着させるためには、「忙しさ」を自慢する組合活動家も要注意だ。
 
(全国一般東京南部)
 


 
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