労働者が安心して生活できる社会を 全労協新聞 2012年3月号 1面

全労協新聞 2012年3月号 1面


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けんり春闘第一波行動で日本経団連に要請、抗議(2月21日)
 


労働者が安心して生活できる社会を
 
全力で「さようなら原発一〇〇〇万人署名」達成へ
労働者のための労働法制確立をめざそう
 
 
 
 12春闘の攻防戦が開始された。日本経団連は「東日本大震災による経済活動の低下、高すぎる法人税、異常な円高と電力危機により日本企業はぎりぎりの所に立たされている。定昇は今年一年我慢してほしい。業績が回復したら、会社は利益をすべて取り込まずに一時金と賞与で還元を」と定昇凍結を打ち出している。ベアについては「この間のデフレを考慮すると、賃金水準は物価下落で実質的に上がっている」のだから論外。そして労使交渉については、「労使パートナーシップ対話」を深化させ「競争力の強化策・事業展開について議論を尽くすこと」が望ましいなどと述べている。
 また、日本経団連経営労働政策委員会報告二〇一二年版は、雇用のあるべき方向性として、「雇用の創出を図るためには、企業活動の活性化を通じて持続的な経済成長を実現すること、労働市場の柔軟性を確保することが必要。ところが昨今、労働政策を巡って、非正規労働のあり方を中心に、規制色の濃い施策の展開が顕著となっている」「非正規雇用に関しては、好ましくない労働契約であるといった見方もあるが、経営者にとって、すべての従業員は企業を支える大切な人材であり、そうした見方は実態に合わない。経済のグローバル化が進むなか、正規労働者で終身雇用が当たり前という考え方はあらためる時期にきている」。高年齢者雇用対策については、「労働者の就労の可否を問うことなく、本人の希望のみにより、企業に雇用確保を強いれば、生産性の低下や、競争力の減退を招くだけでなく、新規採用の抑制など、若年者雇用への悪影響が避けられない・・労使自治に基づく現行の対象者基準を今後も維持すべきこと」などと述べられている。

 全労協は二〇一二年春闘で、一七、四〇〇円/月、一〇〇円/時の賃上げと、全ての労働者に一七〇、〇〇〇円/月、一二〇〇円/時の最低保障することなどを柱とする方針を掲げているが、震災復興への諸政策の要求、緊急雇用対策の策定、雇用創出のための諸政策、セーフティーネットの拡充、労働者のための労働法制確立(現派遣法改正案の早期成立、非正規労働者を保護できる有期労働契約法の制定、差別是正につながるパート法改正)を求めるなど独自の闘いを強めると共に、多くの単産・団体と共同して「12けんり春闘全国実行委員会」を組織し、春闘を「闘いの広場」として闘っていくことを確認している。

 アメリカ経済の後退をはじめ、経済危機はEU諸国で拡大し、特にギリシャでは深刻な国家破綻ともいうべき状況を呈している。福祉切り捨てと増税・低賃金でこの危機を乗り切ろうとしているが、労働者の怒りが、政府への激しい抗議行動として展開されている。そしてEU諸国の経済危機はポルトガルアイルランド、スペイン、イタリアへと波及し、それによる政権交代など深刻さをましている。明らかに現在の世界情勢は歴史の転換期を示している。
 
 労働者が安心して生活でき、人らしく働くことができる社会を実現するために全力で闘おう。

 東日本大震災からもうすぐ一年。報道によると、いまだに避難者数は全国に三三万人あまり。復興は遅々として進まず、被災者の傷は癒えない。

 福島第一原発から二〇km・福島第二原発から十kmの避難対象者数は約八万人、二〇―三〇kmの屋内退避対象は一三万六千人、合わせて二二万人程度と言われている。原発被害が全国的な規模で拡大し、収束への道筋が見えないなかで再稼働の動きを活発化させている。「さよなら原発一〇〇〇万人署名」を全力で達成させるとともに、三月十一日には福島に総結集しよう。
 


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2000人が脱原発デモ(東京2月11日)


 
(F)