損賠訴訟に勝利講師の労働者性も確定 他 - 全労協新聞 2012年2月号 4面

全労協新聞 2012年2月号 4面

非正規労働者に定年はありえない変わらない日本郵政に労働者が起つ/デイベンロイの工場閉鎖を許さない/損賠訴訟に勝利講師の労働者性も確定 他


 


●郵政労働者ユニオン
 
非正規労働者に定年はありえない
変わらない日本郵政に労働者が起つ
 
 
 「深尾さん、人事の責任者のSさんから解雇通知書を渡すから取りに来るようにと伝言がありました」。かかる無礼には反応が早い私は早速Sに電話しました。「取りに来いとはなにごとだ。受け取ってくださいと持ってくるのが筋ではないのか!」。こんな目先の小さな抵抗からはじまった闘いも、次第に少しづつ非正規雇用労働者の抵抗闘争に変質しつつあります。
 昨年末厚労省労働政策審議会から非正規労働者の制度設計に関する政策提言の案が出されているが「弱者切捨て」の域を出なければ意味はないというべきだ。

 郵政職場では民営化と同時にそれまで定年がなかった職場に六五歳で雇い止めするとの就業規則を決めた。しかし年収二〇〇万円前後の低賃金で働いてきた郵政の非正規労働者にとっては受け入れがたい定年制だ。採用時には「体の続く限り働いてください」と言われたり、「採用がそもそも六七歳だった」という人もいるのだ。

 私たちは「そもそも定年というのは年金や退職金、それに年功賃金とセットになって合理性を持つもの。それら三つともない非正規には定年などありえない。六ヶ月ごとに雇用の不安にさらされ今日があるのだ。」との主張の基に昨年十二月九日、東京地裁に地位保全などの提訴をすることとなった。二月九日には最初の公判が始まる。

 昨年の九月末には全国で約一万四千人の労働者が職場を追われたが、熟練労働者ばかりの六五歳以上の非正規社員がいなくなったのだから職場は大混乱。日本郵政はマスコミの餌食になってしまった。遅配は起こるし、支店によっては配達しきれなかった郵便物(タウンメール)を管理者の指示で廃棄するという前代未聞の不始末まで生じた。さらに三六協定に違反する時間外労働を強制し、かつ裏帳簿でそれをごまかすありさま。かつてゆうパック遅配問題総務省から業務改善命令を受けた日本郵政だがその構造的体質はなんら変わっていない。

 一月二十五日が郵政非正規社員の「定年制」無効裁判を支える会の結成総会だ。

(元日本郵便千葉支店 深尾忠典)
 



 
労働組合への刑事弾圧
 
相次ぐ組合敵視の攻撃
問題点と対策を学習
 
 
 一月二十四日、デイベンロイ労組支部の都労委申し立てでお世話になっている萩尾健太弁護士をお招きし、「弾圧事件の様相と対策」と題しての東京東部労組学習会が開かれた。

 昨年より全国一般全国協神奈川の仲間をはじめ、労働組合活動への刑事弾圧(不当な逮捕)や、宣伝禁止の仮処分命令が続いている。また、川口学園、北港交通などにも「立ち入り禁止の仮処分」の刑事弾圧が相次いでかけられていた。(いずれも「和解」の中で経営側が訴えを取り下げ、仮処分は撤回)。昨年十二月には、全国一般全国協など三単産主催の「反弾圧院内集会」も開かれていた。

 労働組合活動に対する刑事弾圧や民事訴訟による敵対が、憲法・労組法、更には労調法を踏みにじる暴挙である点は明らかだ。しかし一方で、「弾圧」に対し「どこまでが許されてどこまでが許されないか」、または、「弾圧を避けるためにはどうすることがベターか」という目先の議論に走りがちになってしまう傾向がある。学習会では、具体的な対策を学んだと同時に、大切なのは「絶対に労働者の権利を守り抜くんだ!という"勝つための覚悟"を決めて立ち向かって行くこと」、との確認がなされ交流・学習を深めた。

(東京東部労組)
 



 
●全国一般東京東部労組

デイベンロイの
工場閉鎖を許さない
 
 
 私達の会社は東京都大田区大森西三丁目で長くクリーニング工場を営んできました。

会社、入口側沿いの東京都の道路拡幅工事により、組合事務所、営業事務所の取り壊しの時期がきたことと、昨年の震災を口実にした工場の老朽化と耐震不安を理由に、着々と工場閉鎖と大森本社解体を企んできました。真の狙いは二十数億円で大森の土地を売却することと、大森工場もろとも、組合をつぶし、親会社(サニークリーン本部)の意向にそった会社再編を行うためです。

 すでに二年前に親会社の資本で茨城県中妻に関連工場が作られ、昨年十一月には同じ資本で千葉県袖ヶ浦にも大規模な工場がつくられており、デイベンロイの大森工場を丸ごと受け入れ可能な体制ができあがっています。

 会社は道路拡張で積極的に東京都に測量を「どんどんやってください」と測量実施を誘導し、昨年の八月、十一月の二度にわたり、東京都が測量にきましたが、組合は「営業事務所と組合事務所の移転先が決まっていない」ことを理由に抗議行動とストライキで延期させました。そのため、東京都も「会社は組合とよく話し合ってください」と測量を今現在は中断しています。

 会社は次に十一月に「建物が危険」との耐震調査報告を口実にして工場閉鎖を画策し、昨年十二月七日には「耐震調査を受けて対策案」として、工場を外注化し、閉鎖する案をだしてきました。年末の二十七日には、工場部門の希望退職者募集の案が提示されました。最速三月末日に閉鎖との期限まで出してきました。

 この間、組合からは十二月二十三日に「営業棟・事務棟を敷地内に建造する。危険な建物は撤去・耐震補強する」という対案を会社へ出しましたが、それらをまともに検討もしないうちに希望退職をだしてきました。

 組合は会社を、東京都労働委員会に不誠実団交で訴えています。会社は大森本社工場閉鎖の時期を仕事があく、二月初旬から三月末に照準をあわせ、工場閉鎖を狙っています。組合は労働者の雇用と生活を守る為、ストライキを背景にして断固闘います。皆さん、ご支援の程、宜しく御願いします。
 



 
●ゼネラルユニオン(大阪)
 
損賠訴訟に勝利
講師の労働者性も確定
 
 
 英会話大手GABA社が、労組ホームページを営業妨害・名誉毀損だとして、五八二〇万円の損賠を訴えていた事件で、東京地裁は会社請求の全面棄却の判決を下した。判決では「ホームページ記事は、事実もしくは正当な論評」と認定し、「会社が労働者として扱っていない。団交拒否」などの記事は、「契約形態の問題を広く喚起し、公共を図る目的」と、ゼネラルユニオンに高い評価を示した。

 またGABA社は、労働者性と団交義務を認定した大阪府労委判断を不服として、中労委への再申立・地裁への行政訴訟までしてきたが、ことごとく棄却された。会社側は損賠も行政訴訟も控訴を断念したため、すべて労働側の勝訴が確定した。

 さらにこの最中、GABA社はニチイ学館の子会社になり、年末には両者と初めての労使交渉が持たれ、雇用契約への移行の協議も開始された。最近、正当な労組活動に対して、差し止めや損賠などで妨害する動きも目立つなか、完全勝訴を実現し、かつ労働者性の争議に勝利した意義は大きい。
 


 
(F)