労働組合よ立ち上がれ! / 全労協新聞 2021年1月号

労働組合よ立ち上がれ! / 全労協新聞 2021年1月号

 


 

 

2021年連帯挨拶

労働組合よ立ち上がれ!


フォーラム平和・人権・環境共同代表
藤本 泰成


 「戦後は明るかった」
 ノーベル賞作家の大江健三郎さんはそう言いました。「不戦」と「民主主義」の憲法に基づく「戦後の精神」を譲らないでいよぅと、二〇一四年四月、『朝日新聞』紙上で語っています。

 その年の夏、安倍政権は、それまでの憲法解釈を変更し「集団的自衛権」の行使を認める閣議決定を行いました。

 私たちは、「戦後の精神」が音を立てて崩れていく様を、国会議事堂前を埋め尽くす十二万人の中で聞きました。

 みなさんと共に歩んできた「総がかり行動」は、「戦後の精神」を決して譲らないという、様々な人の思いに支えられてきたのだと思います。

 七年八カ月の安倍政権は終わりましたが、金と権力への執念にとりつかれた政治は続きます。弱者が弱者を罵り、それぞれの権利を潰し合う姿は、市民社会が権力の餌食になっていく様です。労働者が労働者たらんとする時、そこには全ての命を包含する精神がなくてはなりません。

 戦後、GHQが五大改革指令に、なぜ「労働組合結成の促進」を入れたのか。そのことから、もう一度考え直さなくてはなりません。労働組合はその瞬間に「戦後の精神」の防人としての役割を与えられたのだと、私は思います。

 「全ての労働者よ、労働組合よ、立ち上がれ!」と私は言いたい。

 「戦後精神」の崩壊への不安が、絶望に変わらないうちに!

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