全労協/ 代替わりに問う 天皇の戦争責任 / 新聞 2019年5月号

全労協代替わりに問う 天皇の戦争責任 / 新聞 2019年5月号



●大阪全労協機関紙より 
代替わりに問う天皇の戦争責任

最近、代替わりとは異なる事柄で天皇のことが大きく報じられた件がありました。この間の日本軍「慰安婦」問題や徴用工問題に軋みが生じている日韓間の歴史認識問題に関連して、韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長が「慰安婦問題の解決には天皇陛下の謝罪が必要」「首相もしくは天皇が手を取って謝罪の言葉を伝えれば(問題は)すっきりと解決する」と発言し、その発言に対して日本政府が反発した出来事です。 

しかし、この問題の本質は戦前期の天皇の権限はなんだったのか、とういう点を考えれば明らかです。一九四五年まで有効だった大日本帝国憲法で「万世一系」の天皇は「神聖にして侵すべからず」とされ、「統治権を総攬」し「陸海軍を統帥」していました。つまり、当時の国家機構の最高責任者であり全軍の司令官でもあったわけです。 

現在の日本政府さえ「慰安婦」問題についてその強制性を認めていますが、彼女たちに軍事性奴隷を強制した最高責任者に対し、被害者およびその同じ社会の人びとが心からの(「ひざまずいて、手を取って」!)謝罪を求め、それが成就することは、まったく自然な道理です。あったりまえのことです。しかも戦後七四年、それは全く実現していないわけです。加害者側の政府や国民が何を怒ることがあるでしょうか。 

もっとも、現在の日本国憲法の規定から実際に天皇がそのような行為をすることの是非については別の議論が必要ですが、文議長の発言は何の不思議もないものです。 

慰安婦」のハルモニたちに徴用工のハラボジたちにも、その全責任を取るべき最高責任者とその後継者および現政権が全く一言も謝罪せず、そんな天皇の代替わりを寿ぐこの国の社会はかなり変です。