全労協/ 大飯原発控訴審判決 / 全労協新聞 2018年8月号



安倍政権忖度判決


人格権を高らかにうたった二〇一四年五月の大飯原発福井地裁樋口判決を維持できるか否か、七月四日、名古屋高裁金沢支部前に固唾をのんで待ち構える市民とマスコミ陣。旗出しが行われる。若手弁護士の持つ「不当判決」、原告の東山義隆さんがもつ「司法は福島から目をそむけるのか」の垂れ幕に、福井・北陸や関西一円から駆けつけたたくさんの裁判闘争支援者からいっせいに怒りの声が上がる。内藤正之裁判長は「危険性は社会通念上無視しうる程度」として、「周辺住民等の人格権を侵害する具体的危険性はない」とする、不当極まる関西電力べったりの逆転判決だった。東山さんは、「福島の事故をなんと考えているのか。司法の役割をまったくはたしていない」と。

原告団の中島哲演代表は、「福島・チェルノブイリの実態をきちんと学んでいた樋口判決と比して、後退しすぎている。司法の使命感を放棄したものだ。福井地裁判決は、『豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である』と語り、現在もなお癒える事のない福島第一原発事故の被害に真摯に向き合う倫理的な問いかけであり、人権を守る砦としての裁判所の責務に忠実に原発の安全性を厳しく審査した。この豊かな内容を持つ樋口判決に比して、余りにも貧相な内容の判決である。世論と運動を広げて『必要神話』を、今回の判決をひっくり返す運動を巻き起こしたい」と決意を披歴した。

河合弁護士は、「私たちは絶対に勝つ。なぜなら沖縄のように勝つまでやめないからだ」と訴えた。

(さいなら原発びわこネットワーク稲村守)