全労協/ 福島原発廃炉作業 過労死で申し入れ / 全労協新聞 2018年8月号

全労協福島原発廃炉作業 過労死で申し入れ / 全労協新聞 2018年8月号

各地で脱原発の闘い


過労死で申し入れ


昨年十月二十六日、福島第一原発(1F)廃炉作業現場で五年にわたり構内作業車両の整備を担当してきた五十七歳のTさんが、勤務中に防護服のまま倒れ帰らぬ人となった。ほぼ無給で強いられた時間外労働は毎月一〇〇時間以上。さらに高い放射線量下の過酷な労働が追い打ちをかけていた。遺族がフクシマ原発労働者相談センターに相談。その後いわき自由労組の組合員となり、今年三月九日、東京労働安全衛生センターの支援で労災申請と未払い賃金是正申告をいわき労基署に対し行った。しかし最近出された労基署見解がひどい内容であるため、組合はこの度十八項目の質問を行い七月二十六日に記者会見をもつ。遺族と共に闘い、労災認定をかちとりたい。

(主な質問内容を要約する)
①1F入場後、手荷物チェックへの対応・金属探知機への対応、IDとあらかじめ登録した指の静脈証を読み込ませる作業、APD(アラーム付き小型線量計)を充電器から外して受け取りAPDとID及びWIDを機械に読み込ませる作業、監視員へのAPDとIDとWID及びガラスバッチの掲示、全面マスクの受け取りがある。どれ一つを欠いても実作業に就くことができない。これら実作業に必要な準備行為について、労基署がなぜ労働時間と認めないのか?

②労基署は「Tが行う会社と作業現場1Fへの往復時間は出張移動時間であるから、所定時間内でも労災認定上は労働時間として取り扱わない」とする。

しかし、労基署自身が認定判断の基準とする「脳、心臓疾患の労災認定の実務要領」には、「出張というのは、一般的に事業主の指揮命令により、特定の用務を果たすために、臨時に通常の勤務地を離れて用務地に赴き、用務を果たして戻るまでの一連の過程をいい・・・」と記載し、出張をあくまで臨時のものと規定しているではないか。Tさんの1Fでの毎日の労働が出張、毎日の往復を出張往復といえるのか?Tさんのような状況を出張とした労基署の先例があるのか?

(東北全労協幹事星野憲太郎)