安倍首相の野心には付き合わない / 全労協新聞 2018年1月号

安倍首相の野心には付き合わない / 全労協新聞 2018年1月号


2018年 連帯アピール

明治150年、憲法改正
安倍首相の野心には付き合わない

フォーラム平和・人権・環境 共同代表 藤本泰成


今年は、明治維新から150年目に当たります。安倍首相は、内閣府において大規模な記念事業を検討しています。政府は、明治を「能力本位の人材登用の下、若者や女性が外国人から学んだ知識を活かし、新たな道を切り拓き、日本の良さや伝統を生かした技術・文化を生み出した」と、一方的な「明治礼賛」に終始しています。

明治とは、礼賛に値する時代なのでしょうか。外国人排斥の「攘夷」から、欧米諸国の実力を知った維新の主要なメンバーは、福沢諭吉が主張した「脱亜入欧」へと方針を転換しました。そのために急激な「富国強兵」と「殖産興業」が政策の車輪として進められました。

結果として、私は二つの問題を指摘しなくてはならないと思います。

ひとつは、江華島事件(1875年)や琉球処分(1879年)、日清戦争(1894年)・日露戦争(1904年)、そして韓国併合(1910年)と続く、侵略と植民地支配の歴史です。

もう一つは、それらの政策を支えることに翻弄された一般市民や労働者の生活です。1870年の長崎高島鉱山の賃下げ反対の騒擾から、1886年には甲府雨宮生糸紡績工場でストライキが起きています。

日本経済を支えた鉱山や繊維産業などでの労働争議は、1870年(明治3年)から1914年(大正3年)までに1179件にも及んでいます。都市労働者や小作農民などの厳しい生活を綴った横山源之助の「日本之下層社会」は、1899年(明治32年)に上梓されています。政府の「明治礼賛」は、歴史の負の部分を見ない一方的な歴史認識に立つものであり、そのことは将来を誤ることになります。