原発の真実を伝え 現実を変える力に / 全労協新聞 2017年8月号

原発の真実を伝え 現実を変える力に / 全労協新聞 2017年8月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より


全労協
脱原発プロジェクト
活動報告


福島行動

原発の真実を伝え
現実を変える力に



全労協脱原発プロジェクトは、七月二日~三日福島県内で現地のフクシマ原発労働者相談センターとの交流と除染労働者への早朝宣伝行動を行った。ここでは、交流会で佐藤昌子さんから伺った「規制なき放射能ゴミ処理焼却から再利用へ」の話を簡単にまとめて報告したい。

今、福島では「仮設焼却炉」が建設され稼働している。増え続ける除染で出された放射能を含んだごみを焼却するために作られたその施設は、解体中のものを含めると二四基あり、稼働期間はわずか二カ月から四年である。建設事業者は、日立造船・IHIタクマ・新日鐵住金神戸製鋼などであり、この建設費が復興予算から三〇〇〇億円以上(解体費別)が使われている。焼却灰は、一般廃棄物焼却材(スラグ)として路盤材になって福島県内などで再利用されているということだった。

放射能は燃やしてもなくならないはずなのに、国の説明によれば「この焼却施設ではバグフィルターがあり、放射性セシウムは固体化されればこのフィルターを通れないので外に拡散することはない。人体に害はない。」もやしカスは、八〇〇〇ベクレル以下については、砂などを混ぜてセメント化するので放射能濃度は薄められ拡散もなくなり問題ないとして、二〇一六年一月から飯館村で「資材化実証事業」が開始されている。

中間貯蔵除去土壌再利用戦略検討会は、「世界初のナショナルプロジェクト、やりがいのある、夢のある仕事、わくわく感が大事、若い人にどんどん従事させよう」などと言っているとのことだ。

さらに二〇一六年七月福島県田村郡三春町に「環境創造センター」が作られた。ここでは廃棄物に関する調査研究が行われている。一般に公開されている展示場「コミュタン」へは福島県内の小学五年生の社会科見学地となっている。この展示を見て「放射能を怖がらない」子どもたちを作るのだという。

佐藤さんも強調していたが、「原発を作って儲け、事故の処理や除染で儲け、排出された汚染物質を燃やして儲け、混ぜて売って儲ける」という原発関連産業で儲けている人たち。自分たちの、住む場所も環境も破壊され、故郷も追われた被災地の住民、そして、二次・三次・四次の下請けで働く原発労働者、この現実と立ち向かい変えていくことが今求められている。最後に語っていた「フクシマはかわいそう、被害者としての運動ではだめ。原発の真実を知っている自分たちこそが、この現実を伝え、変える原動力にならなくては」という言葉にこたえる運動を私たちも作りだしたいと思った。

(東京全労協常任幹事
藤村妙子)