2・17 国鉄の分割・民営化から30年集会 / 全労協新聞 2017年3月号



2・17 国鉄の分割・民営化から30年集会 / 全労協新聞 2017年3月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より




●2・17 国鉄の分割・民営化から30年集会

大きな歴史的転換点に
国鉄闘争の教訓を生かそう


国労働組合運動連絡協議会議長 金澤壽



 二月十七日、東京・四谷区民ホールで、「国鉄の分割・民営化から三十年」と題した集会を開催した。一九八七年四月に国鉄が解体され、JRが発足して三十年を迎えるが、国鉄の分割民営化は歴史的にどのような意昧があったのか、そして国鉄闘争の教訓を今後の労働運動にどう生かしていくのか、そうした主旨で開催されたものである。

 かつて高度成長を続けていた日本が大きく変わろうとする、その大きな転換点に国鉄分割民営化があった。第二臨調が始まり、中曽根政権の「戦後政治の総決算」か始まった。総評無力化のために大手民間を中心にしたいわゆる労働戦線の再編が進み、総評も社会党も、その流れに巻き込まれていった。

 国鉄の分割・民営化は、戦後労働運動で大きな役割を果してきた国鉄労働組合を潰す、或いは弱体化をはかることを狙ったものであった。それゆえ国労は資本からの総攻撃を受けた。

 「国鉄の分割・民営化から三十年」、最近の日本はどうなっているのだろうか。

 不安定労働者が作られ、賃金が落ち込み、長時間労働による過労死や過労自殺、格差と貧困などが深刻な社会問題となるなど、雇用や暮らしを壊し続けている。中曽根元総総理らの企図したとおり、労働運動が弱体化させられ、労働組合の闘争力が弱くなった。

 政府が「賃上げでデフレ脱却、財界に賃上げ」を要請する。連合も「生産性向上で分け前」論。そして政府主導の「働き方改革」が作られた。安倍首相は、「長時間労働の是正、同一労働同一賃金を実現し、非正規という言葉をこの国から一掃する」と表明したが、私はいずれ「正規、非正規」という言葉をなくし別の言葉に置き換えようとしているのだろうと考えている。要はこの「働き方改革」は、賃金は生産性の範囲内に抑えること、そしてどうやって働かせるかというところに根本的な問題意識かあるのだろうと思っている。

 「お座敷をきれいにし、立派な憲法を安置する」と言ったのは中曽根元総理。そしていま、安倍自民政権は憲法改悪に向けた態勢をつくろうとしている。

 いま、新自由主義・グローバリゼイションといわれた世界資本主義は、一層矛盾を深め、動揺している。ヨーロッパ諸国で右翼勢力か台頭し、アメリカでは「アメリカファースト」のトランプ大統領が誕生した。それは日本を含めて世界の資本主義秩序が大きく変わろうとしている。

 「国鉄の分割・民営化から三十年」、また、この歴史的転換点に立たされているわれわれが、国鉄闘争から得た教訓をどう生かしていくのか、これが課題だと思う。

 最後についでに記しておく。二月八日の衆院予算委員会JR北海道の経営危機についての質問に麻生太郎副総理はこう応えた。

 「この話は商売のわかっていない『学校秀才』が考えるとこういうことになるという典型ですよ。国鉄を七分割(・民営化)して『黒宇になるのは三つで他のところはならない』と当時から鉄道関係者は例外なく思っていましたよ。『分割は反対』と。経営の分かっていない人がやるとこういうことになるんだなと思ったが、僕は当時力がなかった。今だったら止められたかもしれないとつくづく思う。JR北海道をどうするという話は、なかなか根本的なところを触らずしてやるのは無理だろう」。