https://www.osakaben.or.jp/event/2017/2017_0310.php
市民集会「共謀罪 名前を変えても レッドカード ~共謀罪法案の問題点を浮き彫りに~」を開催します
これまで、3回も廃案になった共謀罪法案が、「テロ等準備罪」と名前を変えて、政府が法案を提出しようとしていると報道されました。
この法案は、2名以上の者が「計画」すれば、実際に行動に移さなくても処罰できるというものです。
この法案は、2名以上の者が「計画」すれば、実際に行動に移さなくても処罰できるというものです。
「準備行為」も要件になるように報道されていますが、「実行するためお金を引き出した」と認められれば、準備行為とされてしまうなど、およそ限定となりません。
2017年3月10日(金) 午後6時30分~午後8時30分(開場:午後6時) |
大阪弁護士会館 2階ホール (大阪市北区西天満1-12-5) 地図 |
約300名(当日先着順) |
無料 |
不要。当日直接会場までお越しください。 (参加多数の場合、先着順で入場を制限させていただくことがございます。ご容赦ください。) |
一時保育サービスを実施します(要予約・無料)
[対 象]原則、首がすわっている乳児~未就学児
[時 間]行事開始15分前から終了15分後まで [連絡期限]2月28日(火) [連絡先]大阪弁護士会 委員会部 司法課(担当事務局:漆原) 電話:06-6364-1681 [備 考]お電話でお連絡をいただいた後に申込書を送付します。申込書の提出をもって申込みが完了します。定員に達し次第、申込受付を終了しますので、ご了承ください。 ※集会の参加とは別に、個別にご予約いただく必要がございます。 |
https://www.osakaben.or.jp/speak/view.php?id=139
テロ等準備罪の国会提出に反対する会長声明
安倍首相は、テロ等準備罪について、本年1月23日の国会答弁において、「共謀罪と呼ぶのは間違い」と述べ、その創設に強い意欲を示した。しかしながら、報道されている法案では、共謀段階で犯罪成立という基本的枠組みが全く変わっていない以上、このような首相説明はとうてい理解できないものである。
また、現在議論されているテロ等準備罪については、以下のような問題点が指摘できる。
第1に、政府はテロ対策の必要のためにテロ等準備罪が必要と説明している。しかしながら、既に日本国内においては、充分にテロ対策はなされている。
すなわち、日本は、政府も認めるように、テロ防止関連諸条約13本を批准し、これに対応する立法が既になされている。また、国内法においては、爆発物取締罰則(陰謀罪)、化学兵器、サリン、航空機の強取、銃砲刀剣類所持等取締法など、未遂以前の共謀や予備の段階からの処罰が可能となっており、しかも、これらについて講学上の共謀共同正犯も認められる以上、テロ対策のために新たにテロ等準備罪を設ける必要はない。
この点、政府は、テロ組織によるハイジャック目的での航空券予約について、処罰の必要があるものの現行法では処罰できないと今国会で説明していた。しかし、航空機の強取等の処罰に関する法律に係る法律書では、ハイジャック目的での航空券購入を購入時点で予備罪として処罰できると解説されており、政府見解は破綻した。
また、政府は、テロ組織による大量殺人目的での化学薬品原料の入手についても現行法では処罰できないとも説明しているが、国会では、サリン等にあたらないが殺傷能力の高い薬品名を具体的に明らかにすることができず、また、仮にそのような薬品があったとしても、サリン等による人身被害の防止に関する法律の改正等で対応できるのであるから、ここにおいてもテロ等準備罪を必要とする政府見解は破綻した。
このように、テロ等準備罪については、そもそも、その創設の必要性(立法事実)すら明らかにし得ていないのである。
第2に、政府は、テロ等準備罪は、「組織的犯罪集団」という要件を加えるので、処罰対象は限定されると説明している。
しかしながら、政府は、「観念的には、もちろんこれから団体を作って,その活動として実行チームを編成して行っていくということの共謀もあり得るだろうとは思います。」と、「組織的犯罪集団」が既存の集団に限られないとしており、また、既存の集団の活動が一変した場合にも「組織的犯罪集団」となると説明している。そして、同旨の最高裁判例もある以上、「組織的犯罪集団」の概念、要件は全く不明確というよりほかない。そうすると、結局は、取り締まる側の恣意的な運用を禁じることができないのであって、「組織的犯罪集団」との要件は、何の限定にもなっていないのである。
なお、政府は、テロ等準備罪の対象となる犯罪を絞り込むとの見解を明らかにしているが、従前、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を批准するために犯罪数を絞り込むことはできないと説明していたのであり、現在の見解は過去の説明と矛盾するもので、とうてい理解できないものである。
しかし、政府は、国会答弁において、準備行為が構成要件であるのか、あるいは処罰条件であるのか明言を避けた。
また、政府は、テロ等準備罪の具体的な内容を未だ明らかにしてない。法律の成立を目指すとしながら、肝心な法律の内容を全く示さない態度は極めて不誠実であるばかりか、テロ等準備罪が従前の共謀罪と何ら変わらないことが明らかになるのを避けるために、あえて内容を示さないとの疑念すら抱かざるを得ない。
この間、政府は、テロ等準備罪について、「一般の方々がその対象になることはあり得ない」ことを強調している。しかし、かつての治安維持法も、「社会運動が法案のため抑圧されることはない」として成立したにもかかわらず、その後、結果的に多くの者が処罰されるに至ったのである。