「同一労働同一賃金」を当たり前に!
非正規格差是正へ
六月二日ニッポン一億総活躍プランが閣議決定された。
厚労省の「同一労働同一賃金にむけた検討会」は六月十四日まで五回の検討会が開催され、六月十五日の毎日新聞には「手当て正規と『対等に』基本給は差容認」との見出しで、ガイドラインの概要が報道された。同一賃金が怪しい雲行きだ。
雇用共同アクションでは五月二十五日に検討会の委員である水町勇一郎東大社研教授を招いて学習会を持った。
水町氏は検討会での資料をもとに、同一労働同一賃金とは「職務内容が同一または同等の労働者に対し同一の賃金を支払うべきという考え方」とし、正規・非正規労働者間の処遇格差問題あたっては、「職務内容が同一であるにもかかわらず、賃金を低いものにすることは合理的な理由がない限り許されない」という考え方と説明。EUのパート・有期・派遣指令では「客観的な理由によって正当化されない限り不利益に取り扱われてはならない」とされているとし、客観的な理由として、労働の質の違い、在職期間の違い、キャリアコースの違いなどを挙げた。
この制度導入の意義は、同一労働同一賃金を払うことが原則であることを労契法、パート法、派遣法に明確にし、この原則と異なる賃金制度等を取る場合は合理的理由を使用者に説明させ(立証責任の明確化)、賃金制度の納得性・透明性を高めることで公正な処遇を実現できるよう誘導することにあるという。
その後の質疑では、同等の職務の判断基準は?(価値評価による)、正規間の格差にも適用になるのか?(直接適用ではないが、合理的判断の中で正規間にも拡がるのでは)、立証責任は使用者になるのか?(調整マターだが主は使用者に移る)、公務職場の非正規にも適用か?(次のステップ)など質問が続いた。
水町氏はガイドラインで少なくとも七〇%のラインに上げるという。実現すれば現状よりは改善には違いないが、七割で同一と言えるのだろうか。選挙目当てとはいえ政府が言いだした「同一労働同一賃金」をしっかり実現するよう運動を強めよう!
(全労協常任幹事 柚木康子)