性差別是正が進まない日本に 厳しい勧告  / 全労協新聞 2016年4月号

差別是正が進まない日本に 厳しい勧告  / 全労協新聞 2016年4月号



全労協新聞
より

国連女性差別撤廃委員会報告

差別是正が進まない日本に
厳しい勧告


二月一六日、ジュネーブの国連女性差別撤廃委員会で七年ぶりに日本報告審議が行われ、日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)から八十人余が傍聴・ロビーに参加した。私は女性委員会が参加する均等待遇アクションとして参加した。

前日にはNGOから委員がヒアリングする機会がある。昼のJNNCによるプライベートミーティングには十二人(二三人中)の委員が参加し、テーマ毎に二十人が発言した。十五時からの非公式NGOブリーフィングでは日本はトップでJNNCが発言した。

代表団団長は外務審議官杉山氏で初めての男性だ。

慰安婦問題のやり取りでは「正確を期すために」と日本語で話し、問題点を指摘する委員に「事実でない発言と言わざるを得ない」などと高圧的態度で驚いた。一向に女性差別がなくならない状況に委員たちの質問も鋭く、質問にNGOからのレポートが反映していることを実感した。

三月七日夜に委員会からの総括所見(評価・懸念と勧告)が出された。

マスコミ報道は慰安婦問題が多かったが、勧告は全般にわたっている。雇用関連では「同一価値労働同一賃金原則の実施で賃金におけるジェンダー格差の縮小を求め、男性の育児参加に向け両親休暇の導入努力、セクハラの禁止と適切な制裁、雇用における差別があった場合の司法へのアクセスの確保、マイノリティ女性・障害女性・移住女性労働者についての調査の実施、ジェンダー統計の提供、ILO一一一号(雇用と職業における差別に関する条約)と一八九号(家事労働者条約)の批准の検討」が求められた。

フォローアップ項目には選択的別姓などの民法改正が前回に続き、さらにマイノリティ女性に対する攻撃も含む人種的優位性や憎悪を主張する性差別的発言や宣伝を禁止し処罰する法律の制定が指定された。

次回報告は二〇二〇年三月提出となった。

(柚木康子 常任幹事)