「新しい労働時間制度」導入阻止
労働者の命と健康を脅かす労働法制改悪反対
今春闘は三月十八日の集中回答日に向けて自勣車や電機の大手メーカーなどの労使交渉が本格化してきた。アベノミクスによる株式市場の活況が伝えられ、「業績が良い経営側はベースアップ(ベア)に例年になく前向きだ」と報じられている。安倍政権も「政労使会議」などで、デフレ脱却や経済の好循環実現のために、企業側に賃上げを要請してきた。
14春闘では大企業中心に賃上げの動きがあった。人手不足によるパートやアルバイトの時給を上げる企業もあった。しかし厚生労働省が発表している毎月勤労続計調査 (速報)によると、二〇一四年にパートを含む労働者が受け取った現金給与総額の月間平均は前年より〇・八%増の三一万六六九四円。ところが、物価上昇分を差し引いた雇用労働者の実質賃金は前年より減っている。月間ペースでは二〇一四年十二月まで十八ヵ月達続で実質賃金は減り続けている。
同一労働
同一賃金を
また、正規労働者と非正規労働者の待遇格差をどう縮めるかが今15春闘の重要な課題でもある。「正社員と仕事は同じだか、賃金に差かあり定期昇給も賞与もない。正社員との格差を何とかしてほしい、契約は半年ことの更新で、失業しないか不安がつきまとう。雇用不安を解消し、同一労働なら同じ賃金を保証してほしい」と訴える。九八五万人に過ぎない組織労働者だけの春闘であってはならない。二〇〇〇万人を超える非正規労働者を視野に入れた春闘でなければわれわれの存在意義が問われる。
三月十三目、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会は、長時間働いても残業代などが払われない新しい働き方を創設する報告書をまとめた。新しい働き方は「高度プロフェッショナル制度」と呼ばれ、導入のねらいについて、報告書では「企業において創造的な仕事の重要性が高まる中で、時間ではなく成果で評価される働き方の下、高度な専門能力を有する労働者が、その意欲や能力を十分に発揮できるようにしていくことなどが求められており、こうした働き方に対応した選択肢を増やしていくことも課題となっている」と。
二月十二日の施政方針演説で安倍首相は、「労働時間に画一的な枠をはめる労働制度、社会の発想を、大きく改めていかなければならない」と述べ、「岩盤規制」とみなす雇用分野に風穴を開ける改革とし、成長戦略にこの制度の創設を位置づけている。
導入ありきで進められたこの労政審の議論は、法定労働時間(週四〇時間・一日八時間)の適用をなくし、残業代も払わず際限のない長時間労働をさせても合法となる。年収要件にしても省令で定めるとなっているので、これは簡単に引き下げられるだろう。そもそも年収が高額で「高度プロフェッショナル」だからといって、その人の命や健康を保護しなくてもよいということにはならない。
ますます労働者の命や健康を脅かすこの「新しい労働時間制度」の導入を、なんとしても阻止しなければならない。