資料 コミュニティ・ユニオンの要請書 2014年12月

資料 コミュニティ・ユニオンの要請書 2014年12月


 

2014年12月8日

厚生労働大臣

塩崎 恭久 様

 

コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク

共同代表 柿本清美(札幌地域労働組合) 木越陽子(おおだてユニオン)

     上山史代(武庫川ユニオン)  小野博文(大分ふれあいユニオン)

 

 

要請書

 

 貴職の日頃からのご活躍に敬意を表します。

 当ネットワークは、北海道から鹿児島までの75のコミュニティ・ユニオン、2万人が参加する個人加盟の労働組合のネットワークです。全国各地で「あらゆる働き方に権利を!」を掲げて、パートタイム労働者や派遣労働者、外国人・移住労働者など非正規雇用労働者をはじめ働く者の労働相談や組合づくり、権利運動に力を入れて取り組んでいます。

 例年行っておりますが、今年度も貴職に対し下記の事項について要請いたします。明確なご回答を頂きますようお願いいたします。

 

 

1.労働時間規制について

 過労死等防止対策推進法が施行されたにもかかわらず、「新たな労働時間制度」として労働時間規制を緩和する議論が労働政策審議会において進められている。必要なのは長時間労働抑制と不払残業、過労死の撲滅のための対策の強化である。

①労働時間規制の緩和となる「新たな労働時間制度」を導入しないこと。

②「管理・監督者」や「事業場外みなし労働」の厳格な運用、「固定残業代」に対する監督・指導を徹底すること。

③中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の適用除外を即時撤廃すること。

④時間外労働の上限規制を設けること。

⑤時間外割増率を引き上げること。

⑥インターバル規制の強化、法制化をすること。

 


2.有期労働契約について 

①有期特措法のような特例措置を設け、労働契約法18条の適用除外を拡大しないこと。

②差別をなくすため、同法20条をより実効あるものとし、強化すること。

③労災休業中の雇い止めを禁止すること。


 

3.地域最低賃金について

①非正規雇用労働者の賃金の底上げと、ワーキングプアを無くし労働者が人間らしい生活ができるよう、速やかに地域最賃を一時間あたり1、000円以上に引き上げること。

②中央ならびに各都道府県最低賃金審議会の委員について、女性の比率を高めること。

③中央最賃審議会での議論をインターネット中継すること。


 

4.パートタイム労働について

①公務パートにもパート労働法を適用できるようにすること。

②ILOパート労働条約(175号)を速やかに批准すること。


 

5.職場のいじめ・嫌がらせ対策について

職場のいじめ・嫌がらせを防止するガイドラインを速やかに作成すること。


 

6.改正労働安全衛生法について

以下の点について法を追加改正するないしは厚生労働省令などで補足すること。

①「面接指導」について、「健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するもの」でなくても、希望すれば医師による面接指導を受けられるようにすること。

②事業者に、集団的な「検査結果」を分析して評価を行い、職場環境改善の必要性の有無と内容を労働者に開示することを義務づけること。

③面接指導する医師や、事業主に意見を述べる医師の身分を保障するとともに、面接指導が実効性をあげない、または事業主への意見が無視された場合に、厚労省等に通報する制度を設けること。

ストレスチェックの実施およびその受診率等を労働基準監督署に届けることを義務付けること。


 

7.監督行政について

労働基準法ないし労働安全衛生法違反で是正勧告した事業所を、法違反を是正させるためにも情報公開の対象とすること。

②労災事件で事業主に対して労働安全衛生法違反を指導した場合、その指導内容を被災労働者に明らかにすること。

③外国人・移住労働者への労働関係諸法令の改正についての周知のため、英語訳のみならず、少なくともポルトガル語スペイン語訳を速やかに作成すること。

④外国人・移住労働者を雇用する事業主に対して、就業規則の明示義務を遵守させるため、就業規則の母国語化を義務付け、指導、支援すること。

年次有給休暇の消化について、年休の完全消化という趣旨に反する「当年度分からの使用」を認めず、前年度からの繰り越し分からの使用を優先するよう事業主に指導すること。

⑥京都労働局は、『適正給付管理対策業務要綱』(京労基発0320第2号/平成26年3月20日)に基づき被災労働者の症伏固定(治癒)と給付打ち切りを事業主に対し事前通知し、披災労働者に不利益(請求をあきらめさせられたり、復職に際して事業主から一切配慮のない復帰を強要された―など)を生じさせた。同様の事前通知を行っている労働局の有無を明らかにすること。また、行われている場合、速やかに中止・撤回するよう指導すること。



▲京都労働局の件については、

8/12 京都労働局 交渉 労災 「適正給付管理対策業務要綱」について 



8、求人、雇用保険社会保険について

①実際の労働条件が求人票の内容と異なる事案の実態調査をするとともに、事業主への指導を徹底すること。

労災保険の休業補償請求中に、健康保険の傷病手当の給付が速やかに受けられるよう全国健保協会宛平成26年9月29日事務連絡を徹底すること。

③非正規雇用労働者の雇用保険未加入事業所への指導を徹底すること。

外国人労働者社会保険について、派遣労働者を含め加入の指導、監督を徹底すること。

⑤有期雇用労働者が雇い止めされた場合、あらかじめ更新しない条項が入っていた場合でも、自ら更新を辞退した場合でも更新可能性ありという契約で雇い止めされた場合と同様の条件で求職者給付基本手当が受けられるようにすること。さらに、有期雇用労働者には被保険者期間が現行6ヵ月必要とされているところを3ヵ月に短縮すること。

ハローワーク求人・求職情報の人材ビジネスヘの提供を止めること。

 


9.社会保障審議会委員の適格性について

 社会保障審議会の委員である対馬徳昭氏は、北海道石狩市社会福祉法人の理事長の立場で、当該労働者で組織する労働組合に対し「解散せよ」「別の組合を結成せよ」などと露骨な不当労働行為を行った。その際、対馬氏は自身が社会保障審議会の委員であることを述べている。同人は、約10年前にも札幌市内の社会福祉法人で同様の不当労働行為を犯し、中央労働委員会から命令を受けている。(中労委平成15年(不再)第40号ノテ福祉会事件。命令交付H17.07.20.

対馬徳昭氏が社会保障審議会の委員に任命された理由および経緯を明らかにすること。

②このような人物が、全国の介護事業者や社会福祉法人を代表する立場で社会保障審議会の委員に就いていることは、委員としての適正を著しく欠くと言わざるを得ないと思うが、見解を明らかにすること

 


10.社会保険労務士が労使関係に不当に介入、事業主をリードしていたずらに争議を生じさせるケースが各地で発生している。厚労省からの指導を強化するとともに、労務管理の指導を逸脱して団体交渉の代理人になるなど適正な労使関係を損なう行為について、全国社会保険労務士会連合会を経由せずに懲戒処分を行うこと。

 

11.労働者の権利保護を堅持し、監督行政の強化のために、労働基準監督署監督官をはじめ、公共職業安定所など労働行政機関の職員を増員すること。






2013/12/09 厚労省への要請書 (資料)

▲2013年12月、2012年12月の要請書。