コラム
疾風
「なくてはならない」
全労協に脱皮した運動を
五月十六日、YMCA国際ホールにおいて、二〇〇人の労働者を結集して「労働法制破壊ストップ!広島共同集会」が開催された。この集会は広島労働弁護団の呼びかけにより、連合、県労協、県労連といったナショナルセンターの違いを超えて開かれたところに大きな意義があった。
この集会のメインテーマで講演された高木太郎日本労働弁護団事務局長は、「すさまじいスピードで、労働法制の改悪が進んでいる」ことに強い警鐘を鳴らされるとともに、安倍政権がめざしているものの危険性を鋭く指摘された。このままでは、日本の労働者すべてが、まったくの無権利状態に追いやられることが臨場感を持って語られた。しかも、このことが秘密保護法の制定や集団的自衛権の容認を解釈改憲でもってやられようとしていることと軌を一にしていることの意味が分かりやすく解き明かされた。
この講演を受け、元広島労働弁議団団長である山田弁護士、広電労組の佐古委員長、県労連川后議長、高教組守本委員長、全港湾中国支部川田委員長から、それぞれのあいさつがあった。労働弁護団からの呼びかけによって、こうした共同の集会が開かれたことの意味は小さくない。今後、広島の地から労働者の力を結集して、安倍の進める労働法制全面改悪に反対し、さらには国家主義へと突き進む政治との対決を挑まなければならない。全港湾川田委員長が述べられたように、階級性と社会性を持った労働運動の発展と幅広い連帯を持って、平和と民主主義を守る闘いを引き続いてやり抜かねばならないのである。
全労協結成から二五年になる。戦後における我が国の労働運動は、一九六〇年代後半から七〇年代に入って、資本・経営側を「脅かす」くらいの力を備えつつあった。これに危機感を持った経営側は、総評・社会党ブロックの解体、資本主義体制内の労働運動の再構築へと突き進み、連合の結成をみた。あれから二五年経ったが、日本の労働者にとっては不幸な二五年であった。
「年越し派遣村」「ブラック企業」など、労働者の生きる権利を認めず、ぼろ布同然のように扱う経営者がはびこる世の中。子ども・若者にお金を使わない国は、やがて疲弊し滅びるのである。いま、その前兆ではないか。
(F)