最低賃金14-70 最低賃金:審議過程の公開を 雨宮処凛さんらアピール





最低賃金:審議過程の公開を 雨宮処凛さんらアピール

毎日新聞 2014年07月22日 19時03分(最終更新 07月22日 19時17分)

2014年7月23日(水)
最低賃金上げ 貧困の解消を」
宇都宮健児氏ら アピール発表



2014年「最低賃金引き上げ!有識者アピール」
なくそう、貧困と格差!
私たちは、最低賃金の大幅な引き上げを求めます


私たちは、法定最低賃金の大幅な引き上げを求めます。今や雇用の37%は非正規、35%は年収200万円以下です。低賃金と不安定雇用は、消費の抑制を招き、若い世代から結婚、出産、育児の希望を奪い、社会の持続可能性を失わせています。

政府はこの春、経済団体に賃上げを要請し、一部の大企業はそれに応じました。しかし、中小企業や非正規雇用で働く労働者の賃上げは進まず、円安による物価上昇と消費税増税の影響で、実質賃金は目減りしています。このまま自助努力にまかせたのでは、ワーキング・プア問題は解決しません。低すぎる賃金を引き上げる政策的な手立てが必要です。

 現在、各都道府県に適用されている地域別最低賃金は、最高額の東京でも869円、最低額の鳥取、島根、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、沖縄の9県は664円です。800円台はわずか3都府県、700円台は25道府県、600円台が19県もあります。フルタイムで働いても手取り100~130万円の年収では、健康で文化的な最低限度の生活を営むことはできません。また、最大205円という最低賃金地域間格差は、賃金の低い地方からの労働者の流出を促し、地域の活力を失わせています。

私たちは、最低賃金を「人たるに値する生活を保障するのにふさわしい水準」に引き上げ、かつ、地域間の格差をなくす「全国一律最賃制度」にすべきと考えます。2013年の夏から下げ始めた生活保護基準を元に戻した上で、生活保護を上回る最低賃金を実現し、就労のインセンティブを高めるべきです。生活保護基準が高いという声もありますが、今の保護基準は「健康で文化的な生活」水準とは言えず、それより低い賃金で働く人が多数存在することこそ、大きな問題です。

最低賃金の改善について、2010年には政府、経済団体、労働団体との間で「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、2020年までに全国平均1000円を目指す」という「雇用戦略対話」の合意が成立しています。政府と中央・地方の最低賃金審議会は、合意を計画的に実現させなければなりません。

最低賃金1000円は、中小企業には支払いが困難との見方もありますが、先進緒国では全国一律で時間額1000円以上(購買力平価換算)の最低賃金を設定している例は珍しくありません。最低賃金を「労働者とその家族の必要」を支えるものと位置づけ、生活の最低保障を強めながら、消費購買力を高めて地域経済と中小企業の振興をはかっています。

日本でも、できるはずです。中小企業支援策を拡充させながら、この夏、最低賃金の大幅な引き上げと地域間格差の是正を実現しましょう。併せて生活保護、年金、家内工賃、下請単価、農民の自家労賃、税金の課税最低限等を引き上げ、誰もが安心して暮らせる社会を実現しましょう。

2014年7月22日


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