コラム 「上部団体はいりませんか」 / 全労協新聞 2014年5月号 3面から



14春闘勝利に向けて全国で行動
中小・非正規労働者の大幅賃上げ
獲得へストライキで闘おう

コラム
疾風


労働者に見える旗として
「上部団体はいりませんか」

全労協常任幹事
山下恒生


全労協を結成して四半世紀になろうとする。全労協結成を契機に、旧来の保守的・官僚的労組から訣別して参加してきた新しい組合も世代交代の時期を迎えている。

ここ数年の傾向だろうか、組織相談も増えてきている。とりわけ斜陽産業あるいはリストラに直面する企業内組合が、「闘い方」の指南を求めて相談に来る。他所に相談に行くものの、迷惑顔をされる、組合の自主性を否定される、あげくは弁護士を紹介される。その結果、全労協や加盟単組にたどり着く。

他所の内情に詳しいわけではないが、漏れ聞くところによると、これら組織相談に対応できる幹部・活動家がいないという。個別相談が得意というのでもない。とにかく、争議経験もなく、もちろん争議指導ができる者がいなくなったというのである。労使協調路線をとる他所では、活動家は育たないだろう。このことは、かつては日常であった「地域共闘」がなくなったことにも反映している。組合執行部が、地域にある他の組合と付き合う必要も機会もないのである。ましてや組合員同士の交流はない。

この点、全労協界隈では活動家が育ってきているように思える。全労協系組合はもともと活動家組合の様相もあったが、この四半世紀の経験を重ねて、組織相談・争議指導を引き受ける陣形を整えてきている。旧来型上意下達のナショナルセンター、ローカルセンターでない特徴も加味しながら、全労協は上部団体の資質を備えてきている。

グローバル経済下でサバイバル競争をする企業、財政破綻に向かう国・自治体、かつての企業内組合のノウハウでは事態に対処できない。その企業内組合の多くが上部団体をもっていない。また労働組合を欲しがっている労働者は多く存在する。全労協には、これら労働組合・労働者との出会いが必要である。

上部団体の団交権は労組法で保障されている。「上部団体が出てきたら争議を収束させるようにしている」と上部団体の関与を目安に争議対策を考える経営側弁護士もいる。

今、全労協は、労働組合・労働者に見えるように、「上部団体はいりませんか」の旗を高く高く掲げよう。



(F)