厚労省前で派遣法改悪反対を訴える金澤議長(1月17日)
●14春闘と労働法制改悪反対の闘い
労働者派遣法改悪強行は許さない
労使の力関係を転換する14春闘へ
安倍首相は一月二十二日、スイスのダボス会議(世界経済フォーラム・世界の政治家や実業家が国際経済について議論する)においてアベノミクスを自画自賛し、日本経済は復活したと自慢して見せた。そして今後すすめる本格的な成長戦略の柱に復興特別法人税の前倒し廃止に加えて法人税の引き上げと「世界で一番企業が活動しやすい国」として環境整備を行うことを宣言した。
安倍首相の云う「日本経済の回復」とは日本銀行を使ってジャブジャブに金融緩和を強行し、円安株高のバブルを膨らませたに過ぎないことは一部富裕層が高額商品の購入、四月の消費税引き上げ前の駆け込み需要の他は労働者国民の消費が一向に上向いていないことでも明らかであり、そればかりか、円安による物価高騰が労働者の家庭を直撃しているのである。
こうした中でも安倍首相は新自由主義政策の柱に規制緩和を据え、労働者保護をかなぐり捨てて、弱肉強食戦争を煽ろうとしているのである。その目玉には労働者派遣の全面的自由化や時間外労働に関わる規制撤廃=残業代ゼロ法案、あるいは限定正社員制度によって正社員を低賃金で解雇が容易な労働者に切り替えていこうというのである。首相官邸に御用学者と財界人を集め、産業競争力会議や規制改革会議を使って、労働法制から労働者保護の規定を骨抜きにしようというのである。既に労政審では労働者派遣法の抜本的改悪が審議され、今、労働時間制度の改悪が裁量労働制の見直しとして進められようとしている。
一月十七日、労働政策審議会の労働力需給制度部会は派遣法の改正について労使の意見対立が激しく、報告書をまとめることができないまま結論は先送りされた。この日も私たちは雇用共同アクションとして厚生労働省前で抗議行動を行い、労働者委員には安易な妥協を行わないよう激励してきた。労働者派遣を実質的に全面自由化し、派遣労働者を一生、低賃金・無権利の状態に縛り付けるものであり、「連合」も三度に亘って厚生労働省前抗議行動を行ってきたがこの十七日も要請行動を展開した。文字通りすべての労働者団体がこぞって反対を明らかにしており、政府は派遣法改悪を強行ことは許されない。
一方、労働時間制度の改悪をめぐる安倍政権の動きが活発化している。昨年末十二月に入って五日に規制改革会議雇用ワーキンググループ、二十日には規制改革会議が労働時間について意見をまとめ、二十六日には産業競争力会議雇用人材分科会が「世界でトップレベルの雇用環境/働き方に実現」とする中間整理を行ったのである。即ち、安倍の云う「世界で一番企業が活動しやすい」環境整備として残業ゼロ法案の検討に入れというのである。これら産業競争力会議の指令の下で、厚生労働省は労政審労働条件分科会で議論を始めようとしている。
(F)