重層雇用形態で不安な技術継承 ●東水労  全労協新聞 2013年9月号 2面から



●東水労

重層雇用形態で
不安な技術継承


東京都水道局・下水道局が出資する監理団体三社の重層雇用形態は、低賃金・不安定雇用労働者をつくり出し、社員が定着しないため監理団体に技術力は蓄積されない。さらに、このまま監理団体への業務移転が進むと、直営の技術継承も途絶えてしまう。業務委託と監理団体の労働条件の不備が不安定業務を発生させ、ライフライン事業に支障をきたす状況だ。したがって、技術継承・技術蓄積が可能なに、監理団体をはじめとする関連労働者の労働条件の確立に向けた組織化は急務である。

東水労は、昨年十二月と13春闘時に監理団体相談窓口を開設し、労働相談を実施した。また、監理団体職場に情宣ビラを配布し、関連団体相談窓口についてできる限り通知している。かかる中、「人事異動に関する不安」「職場の人間関係の悩み」「人事制度に関する問い合わせ」「病気休暇制度について」の相談等が持ち込まれている。寄せられた相談によって、会社の労働環境にどのような問題点があるか浮かび上がってきた。こうした相談については、可能な限り法制度について調べて答えたり、相談内容に応じて会社側に問い合わせをしている。相談者の中には東水労に加入し、会社側との団体交渉を行い、その解決に向けて闘っている。

民にとっては、官でも民でも必要な水道・下水道サービスが実施されていれば良いかもしれない。問題なのは、そうした公共サービスを担う労働者の労働条件の差が、住民サービスの差となってしまうことだ。労働基準法や労働安全衛生法等の法令遵守は当然であり、パワハラやセクハラ、いじめ、退職強要といった人権侵害は以ての外だ。しっかりと公共性を発揮するうえで、安心して働ける環境、処遇が整備されることは絶対条件である。

東水労は、組合員はもとより、同じ水道・下水道職場で働くすべての労働者が安心して働き続けられる職場環境の改善、生活改善と権利の拡大をめざし、労働相談の拡充と組織化を進めている。



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