改憲阻止の国民的な大運動を  全労協新聞 2013年5月号 1面から


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日本経団連前でけんり春闘中央総行動(4月9日)



改憲阻止の国民的な大運動を
改憲を狙う96条改定、平和を脅かす安倍政権
格差と貧困、原発、TPP、消費税増税に反対


昨年の総選挙で自民党日本維新の会などの改憲勢力衆議院で三分の二以上を占め、安倍政権は参議院選を待つまでもなく九六条改定を公然と唱え始めた。しかも現在の国会の勢力比ではこれが可能な状態である。

改憲手続きを定めた憲法九六条の改正を争点に据えることに慎重な態度を取ってきた自民党だったが、今夏の参院選公約に九六条改正が掲げられようとしている。そして改憲の発議要件が緩和された九六条改正が国民投票にかけられた場合には将来的な九条改正を視野に入れた対応であるとの認識が述べられている。

日本国憲法九六条一項は、「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」となっているが、自民党改憲草案によると「この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議により、両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し」となり、改憲を狙う安倍自民党政権は、まずこの九六条から手をつけようしている。

自民党の昨年衆議院選挙公約は、「国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない」「歴史と伝統、美しい国土、ふるさと、家族、素晴らしい国民性を再認識し、国民の力を総結集した国づくりを目指します」をスローガンに、強靭な日本を創生するために、天皇の元首規定、国防軍の保持、憲法改正の発議要件の緩和など新しい憲法草案を提示した。

多くの沖縄県民や自治体の首長・議会が反対し、県知事が辺野古への県内移設が「事実上不可能、無理だ」と繰り返し強調しているのにもかかわらず、新しい米軍基地を造るための名護市沿岸部埋め立て申請。在日米軍基地の七四%が集中する沖縄の基地固定化など、中国や朝鮮半島の緊張関係を煽りながら、集団的自衛権行使、武器輸出三原則の緩和等々、平和が脅かされている。


首切り自由
狙う安倍政権


雇用に関する労働市場の規制改革では、政府の産業競争力会議は、成長産業への人材の移動が円滑になるよう、企業が社員に再就職の支援金を支払うこととセットで解雇できるようにする解雇ルールの明確化、そして原発再稼働など、国民主権基本的人権の尊重、平和主義の原則がないがしろにされようとしている。

もしも七月の参議院選挙で勝利などしたら自民党安倍政権がこれらを一挙に加速させてくるのは明白だ。

今まさに、日本国憲法が危機にさらされている。

安倍首相は三月十五日、多くの国民、業界、諸団体が反対を表明するなか、日本がTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉に参加することを表明した。TPPについて、安倍首相は選挙中から「聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPP交渉に参加しない」と繰り返していた。

交渉参加の条件にコメ、麦、乳製品などの重要五品目と国民皆保険制度など死活的利益としてその確保を優先し、これができない場合は「脱退も辞さないものとする」としているが、TPPの主要な目的はアメリカによる日本市場の無条件開放であり、「日米同盟」の下では要求を呑まざるを得ず、安倍首相がいう「聖域」など主張できるはずがない。安倍首相は交渉参加表明を撤回すべきだ。

アベノミクスが加速し多くのマスコミは円安・株高で景気動向が変化したことを報道し、内閣支持率も高水準だ。

原発再稼働、TPP本体への参加、辺野古移設強行、そして憲法改「正」の嵐が吹き荒れるのは参院選のあとである。

格差と貧困、原発、TPP、消費税増税に反対するとともに、平和と人権を守るために改憲阻止の国民的な大運動を作り上げよう。



(F)