2/20 京都市 非常勤嘱託職員決起集会 嘱託職員にも老後はやって来る!

2/20 京都市 非常勤嘱託職員決起集会


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京都市役所内

以下、「ユニオンらくだ」のニュースより

らくだ
発行日 2013年2月18日
連絡先 京都市中京区寺町御池上る 京都市役所内
電話・Fax 075-256-1063
E-mail rakuda@3sweb.ne.jp
京都自治体職員関連労働者自立組合


怒り!怨み!涙!くやしい!働きたい!生活できない!
嘱託職員にも老後はやって来る!
そのためにも退職手当は絶対に必要です!


 ユニオン「らくだ」・非常勤嘱託職員部会は、昨年十二月十九日の団体交渉で京都市当局から提案された、非常勤嘱託職員全員に対する六十五歳定年制の段階的実施案に対して、とうてい受け入れられるものではないとし、当局に持ちかえって再検討するよう要求しました。当局も再検討する、と回答しました。

 そして、年を越した一月十六日、再度の交渉が行われましたが、十二月提案と寸分も違わない内容が提案されました。

 私たちは、この提案に対して、①まずなによりも定年制を実施したいのなら退職手当と継続雇用の実現が必須条件であること、そうでないと②退職後の生活がただちに困窮すること、③長年働いてきた嘱託職員の仕事への熱い思いをないがしろにするものであること、④労働法上の諸権利を踏みにじるものであること、などの切実な理由から、妥結はしないことにしました。

退職後に待っているのは困窮した生活!

 再交渉では、冒頭、人事課長から十二月の交渉で、「生活に困窮した場合は生活保護という制度がある」旨の発言を行ったことに対して謝罪がありました。「らくだ」は、課長の気持ちは分かったが、交渉の席上で当局として行った発言は重いと考えている、とし、嘱託職員が退職後に生活に困窮するような賃金や諸手当を受け取る権利が剥奪されていることが問題なのであり、当局の雇用責任として、それが実現するよう努力することが、本当の謝罪につながる、としました。

 その上で、今回提案の六十五歳定年制の導入で、嘱託職員の人生設計や生活に大きな支障をきたすことになるが、当局は退職後の生活がどのようなものになるか、を把握しているのか?と問いただしました。 

 当局側の回答は「できる範囲でどういう制度が利用できるのかをお示ししてご協力したい。嘱託職員の心に寄り添った対応をしたい」というものでした。

住民税・国保料が払えないと差し押さえに…?

 本当の「心に寄り添った」というのは、長年働いてきた嘱託職員の労に報いることであり、退職後に安心して生活していけるようにすることです。

 嘱託職員の年金額は、よくて月十一万円、多くの職員が七万円~八万円である上に、退職次年度には、住民税額や国民健康保険料額で、五十万円弱の金額を、市から請求されることになり、払えないと市から差し押さえを受けることになります。

 このような悲惨な実態を把握しておかなければ、私たちの「心」が理解できず、改善することなどできません。

退職手当支給の壁は取り払われた!

 次に、ゼロ回答だった退職手当について問いました。私たちは、非常勤嘱託職員への手当支給に対する可否を争った二つの事件を例に出しました。

 すなわち、①業務実態から常勤職員と違わなければ任用はどうであれ常勤職員と見做す、とした東村山市訴訟の最高裁判例や、②勤務時間が30時間以上であるなら常勤職員と見做す、とした枚方市訴訟の高裁判例(確定)など、各地の公務臨時非常勤職員が勝ち取った成果を例に出し、手当支給の壁は取り払われたのではないか?支給できるはずである!と追及しました。

 当局のこれに関する回答は、「この間厳しい情勢ではあるが引き続き検討する、という前向きの姿勢をとっている。最高裁判例は承知している、がしかし、地方自治法などの法制度的な制約があり、それが整備されなければ困難だ」というものでした。

ご都合主義のダブルスタンダード

 「らくだ」は、「がしかし…」という接続詞が、逃げ口上でよく使われる常等文句である、と考えます。

 当局は、外国籍職員の任用・従事制限については、最高裁判例(東京都の外国籍職員の管理職昇進試験拒否訴訟)を尊重し、「外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは法体系上想定していない。最高司法機関である最高裁判例は極めて拘束力が大きい」としています。 

 従事制限をすること自体は誤っていますが、当局の姿勢からすると、東村山市枚方市訴訟の判例は極めて拘束力が強く尊重しなければならないはずです。しかし、一方は尊重し、一方はしない、というのは、ダブルスタンダードであり、制度化しないための方便に過ぎません。

 法制度の整備を待っていたのでは、間に合いません。最高裁判例で充分条件はそろっています。早急に退職手当を実現しなければなりません。

定年制の強行は権利と尊厳と人生を奪う!

 交渉に参加した嘱託職員の組合員からは、次のような、迫力のある、切実な追及がありました。

 「今や、高齢者の社会貢献と社会参加が必要とされている。昨年度に異動したが、ひとつの職場では最低でも五年間継続して取り組まないと、丁寧で市民の心に寄り添った仕事はできない。あと三年は働いて責任を果たす」「来年度に退職手当が支給されるようにしてもらいたい。年金が低額なので貯蓄をしなければならないのだが、基礎報酬月額も低額で貯蓄もできず、無理をして貯蓄しようとすると、現在の生活が苦しくなる。なんとかしてもらいたい」

 「数万円の年金額でどのように退職後暮らすのか?七十歳まで継続して働けると考えて宿日直の仕事を選択した。生活保護があるというが、私は生活保護など受けない。受けなくていいような制度を整えてもらいたい」
 「心に寄り添った対応をするのが所属の課長であるのなら信用できない。十二月には組合に提案されただけの定年制を、所属の課長は、あたかも決定事項のような説明をした。事実も把握できていない、普段からコミュニケーションが取れていないような課長が、私たちの心に寄り添った対応ができるはずがない」

 これらの追及には、嘱託職員の現状と将来への不安、労働者の権利を奪うことへの怒り、仕事への熱い思いを踏みにじられたことへの憤りなどが込められています。
当局が寄り添うべきは、この嘱託職員の「心」です。

私たちは生活のために働いている!

 今回「らくだ」は、①京都市で働く嘱託職員は何人いて、そのうち源泉徴収を甲欄で受けているのは何人なのか?②そのうち雇用保険に加入しているのは何人なのか?という質問状をだしました。これに対して、約千七百人の嘱託職員が働いていて、約八百五十人が源泉徴収甲欄適用(主な収入源が京都市の場合適用)であり、約九百人が雇用保険の加入者である、と回答しました。

 京都市作成の『職員ハンドブック』には、嘱託職員の任用根拠が地公法三-三-三の特別職の非専務職であり「生活を維持するために公務につくのではなく…」という文言がありますが、それは源泉徴収甲欄適用者や雇用保険加入者が九百人程度いる事実からすると、「生活のために働いている」という実態と矛盾しており、嘱託職員の任用において脱法行為を行っていることを示しています。

 当局は、嘱託職員が、生活のために働いているという実態を直視し、労働条件(退職手当などの支給)の改善に、もっと積極的に取り組むべきです。

妥結はできない!

 当局の提案が、十二月に示されたものと寸分ちがわないものであるということなので、「らくだ」は今年度の労働条件に関する最終回答も含めて、妥結しない旨をつたえました。その上で、①退職手当支給の早期実現に向けて引き続き協議すること、②退職手当に目処がつかない場合、一年後・二年後に退職を強要される職員を継続雇用するなどの手立てをすること、③働く意欲があり適性を充分備えている職員は定年制の対象から外すこと、④退職後の生活状況を確認するために年金額の把握を行ない、年金額が生活保護基準以下の職員は定年制の対象から外すこと、⑤退職次年度に請求される住民税額・国保料額を把握すること、などを申し入れました。
一般職は、来年度から段階的に四百万円程度の退職手当が減額になるようです。職場では、退職後の生活に支障をきたす、人生設計がくるわされる、という怒りの声が出ているようです。

 嘱託職員にも生活があり老後があります。三十年・四十年働いても、一円の退職手当も出ないことの理不尽さが充分ご理解いただけると思います。

決起集会と申入れ行動を行ないます!

 私たちは、京都市当局の定年制の導入の撤回を求めて決起集会を行います。多くの仲間に集まっていただくよう、お願いいたします。


定年制の導入を弾劾する!導入を撤回せよ!
非常勤嘱託職員決起集会(仮称)
二月二〇日(水)午後六時三〇分~ 
京都市役所本庁舎三階人事部前廊下

▲ニュースはここまで、



判示事項
 1 任用期間が更新され3年以上在職することとなった市の嘱託職員が,地方自治法203条1項にいう「非常勤職員」ではなく,同法204条1項にいう「常勤職員」に当たるとされた事例
2 任用期間が更新され3年以上在職することとなった市の嘱託職員に対する離職報償金の支給が,適法であるとされた事例


行政事件裁判例
平成20(行コ)19 損害賠償(住民訴訟)請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所平成19年(行ウ)第335号) 
 
平成20年07月30日 東京高等裁判所 住民訴訟
http://www.courts.go.jp/common/img/pdf_ico.gif全文
行政事件裁判例
平成19(行ウ)335 損害賠償(住民訴訟)請求事件  
平成19年12月07日 東京地方裁判所 住民訴訟
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自治総研 2011年3月号(第389号)

自治総研 2010年6月号(第380号)

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