大阪教育合同労組 大阪府教の団交拒否は違法 全労協新聞 2013年1月号

大阪教育合同労組 大阪府教の団交拒否は違法 全労協新聞 2013年1月号 3面


1.全労協新聞 2013年1月号 3面


●大阪教育合同労組

大阪府教の団交拒否は違法
講師雇用継続は義務的団交事項


教育合同労組は結成以来、講師雇用継続を最重要課題として、府・府教委団交を行ってきました。ところが橋下前知事が就任した二〇〇八年二月、府は団交開催に難色を示し始め、二〇一〇年度には団交拒否に出てきました。

団交拒否に対して、組合は粘り強い要請行動に加えて労働委員会に救済を申し立てました。ところが、大阪府労委は二〇一一年七月に棄却命令を出しました。命令の要旨は、常勤講師及び非常勤講師とも任用更新ではなく新規採用だから義務的団交事項でない、組合との団交は情実人事の疑いを免れない、というものでした。

これに対して二〇一二年十一月三十日、中労委は団交拒否が不当労働行為であるとの命令を交付しました。命令の要旨は、非常勤講師等は更新(雇用継続)の法令による規制がなく更新は任命権者の裁量にゆだねられているから雇用継続は義務的団交事項である、講師は会計年度を超えて繰り返し任用され恒常的に教育組織に組み込まなければ教育体制が成り立たない実態がある、組合員は実質的に勤務が継続することに合理的な期待を有する、従って、任用の保障(雇用の継続)を交渉事項とする団交は拒否できない、というものです。

そのうえで、府・府教委の団交拒否理由をことごとく否定しました。特に、管理運営事項は交渉事項でないとの主張を否定したことは、橋下市長が制定した大阪市労使関係条例の正否にも影響を及ぼすものです。

府は、中労委命令を不服として、取消訴訟を行うとしています。不当労働行為企業には入札停止処分を行う府が中労委命令を履行しないことについて、組合は責任追及をはじめました。

また、二〇一一年度の団交拒否事件についても十二月十七日に中労委から救済命令が行われました。労働組合敵視の橋下―松井府政を転換させます。

(山下恒生大阪教育合同労働組合副執行委員長)




2.全労協新聞 2012年12月1日号 3面


中労委が全面棄却の不当命令
正規と非正規がともに闘う労働運動を

十一月五日、中労委に再審査申立を行っていた『関西学院大学障がい学生支援コーディネーター雇止め解雇事件』の命令が交付された。上限四年の有期雇用を理由に、期限付契約職員が雇止め解雇になったこの事件の結果は、『全面棄却』という不当なものだった。

中労委は「契約終了に伴って雇止めすることや、雇用形態の転換による継続雇用も行わないことは、職員の組合加入前から決まっていた法人の方針である」とし、今回の雇止め解雇は組合加入ゆえの不利益取扱ではないと判断を下した。

しかし調査の過程で、契約期間終了後も、期限付契約職員が嘱託職員に雇用替えされ、継続雇用されている事例が明らかになった。中労委は関学側に、「元期限付契約職員が嘱託職員として採用されたのに、大椿が嘱託職員として継続雇用されなかった理由は何か」と求釈明を行っておきながら、回答を避けた関学側を徹底的に追及せず、その点について判断を避けた。嘱託職員として採用された元期限付契約職員たちは非組合員だった。まさにこの組合差別が、不当労働行為を明らかにする重要な点であったにも関わらず、中労委は徹底した調査を放棄したのだ。全ての期限付契約職員が関学の方針により雇止め解雇になっている訳ではないという事実が認められている以上、これは棄却理由の根拠足りえず完全に矛盾している。方針は、いつでも使用者側によって、恣意的に変更される。

また、「雇用限度を四年間とすることにより組織の活性化を図ることが法人の重要な人事政策とされ、そのような人事政策が必ずしも不合理であるとは言えない」と有期雇用を容認する回答に至っては、脱力するより他なく、今後、この論法で全ての有期雇用の争議は、全面棄却される可能性がある。

中労委初回調査の日、労働者委員から「僕の経験からして、この手の争議は新幹線代の方がもったいない」と言われた。長年、労働組合に携わり、中労委労働者委員の責務を負う人物が、このような発言が出来る労働界の状況はおかしくないか。今こそ、正規と非正規が共に闘う労働運動を実践してきた全労協が本気を見せる時だ。労働組合に入り、仲間と連帯し、実力で継続雇用を勝ち取っていくしか、有期雇用労働者の人権を守る道はない。

(大椿裕子
関学雇止め解雇事件被解雇者/
大阪教育合同執行委員)




判断を避けた中労委
闘いは止まらない

中労委による棄却命令は、横行する非正規有期雇用を放任することになった。

合意に基づく期限付雇用は、立場の弱い労働者に選択肢を与えない「自由」契約であるとの批判がある。こういう批判にもかかわらず裁判所は、合意による契約だから雇止めは有効とするのがほとんどである。

だが現実はどうか。使用者は有期雇用すべてを雇止めにせず、気に入った者を継続雇用する実態がある。そうしないと職場は回らないからである。取込と排除は、労務政策の常套手段だ。

関学も例外ではない。他部署では、期限付契約職員を雇用替えして継続雇用している。他方、組合に加入した者は「期限」を理由に排除した。この有期雇用に付きまとう恣意的人事を、組合差別だとして救済申立て、有期雇用の本質的問題に迫ろうとしたのが本件である。しかし中労委は、判断を避けた。

労働委、裁判所を動かすまでの運動ができていなかったのは確かだ。しかし労働組合はこれで止まるものではない。関学も、終わったと思わない方がよい。

(山下恒生
大阪教育合同副執行委員長)



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