総選挙闘争にあたって (3単産アピール)


総選挙闘争にあたって (3単産アピール)
 
 12月4日公示、16日投票の総選挙闘争がはじまった。
 2009年の政権交代後はじめて、そして、昨年の東日本大震災福島原発事故後はじめてとなる今回の選挙は、この間の民主党政権の政治に審判をくだすとともに、「3.11」を体験した私たちが日本の政治と社会のあるべき方向性を決めるたたかいである。
 
 構造改革の名で小泉内閣以後の自公政権がすすめた新自由主義政策、すなわち、市場原理万能の規制緩和アメリカ一辺倒の外交路線にもとづく政策は、貧富の格差を拡大するとともに地域社会を疲弊させ、近隣諸国との関係を悪化させた。大企業と金持ち層にはつぎつぎと法人税減税や累進課税の緩和をほどこす一方で、雇用の非正規化と社会保障の切り下げをおしすすめたからであり、2000年代の10年間で大企業の利益は倍加したが、労働者の年間所得は50万円もダウンした。こうした政治への私たち国民の怒りが政権交代を実現し、新自由主義政治をやめさせて、福祉政策の拡充と東アジアとの共存への転換のきっかけをつくったのである。
 
 ところが、財界、官僚、アメリカの強力な巻き返し策を受けた民主党政権公約を実質的に投げ出して、消費税の引き上げや社会保障制度の改悪、大飯原発の再稼働、オスプレイの配備、TPP参加など、いまやかつての自公政権顔負けの新自由主義路線を暴走している。民主党は国民の批判を真摯に受け止めて、政権交代の原点に立ち返るべきである。
 
 「3.11」後の復興で求められているのは大企業優先の開発ではなく、被災者の住まいとくらし、そして、地場産業の再建である。なによりも原発事故で被害を受けたひとびとへの完全な賠償と生活再建の補償、事故原因の解明と東電や国の責任の明確化、既存の全原発の速やかな廃炉脱原発の道筋を確実にするためのエネルギー政策の転換が必要である。
 
 いま、2009年政権交代への国民の失望感につけこんで、国防軍の創設や歴史教育の見直しまで打ち出しはじめた安倍自民党の復活傾向のかたわら、「第3極」を名乗る新興政治勢力がメディアにもてはやされているが、その本質は、石原元都知事や橋下大阪市長の政治姿勢にあきらかな通り、労働者の団結権の否定、より過激な新自由主義、排外主義的なナショナリズムを骨格とした改憲勢力にほかならない。自民党の返り咲きはもとより、こうした新興勢力の跳梁跋扈を許すならば、総選挙の結果次第では、原発再稼働、TPP参加、そして平和憲法の改悪を基軸とした最悪の連立政権が誕生する危険性が高まっていることを、私たち労働組合は深く自覚しなければならない。
 
 私たち3単産は、総選挙闘争にあたって、以上の情勢認識を共有し、脱原発と再稼働反対、消費税引き上げと社会保障制度改悪反対、TPP参加反対、平和憲法の改悪反対を中心に、労働者の権利の拡大、雇用の安定、大企業優先の経済・産業・税制の転換など、国民のくらしを擁護する政治勢力と候補者を支持してたたかうことを強く訴える。
 
 2012年11月27日
                                                        全日本港湾労働組合
                                                        全国一般労働組合全国協議会
                                                        全日本建設運輸連帯労働組合


 
(F)