原発に依存しない社会の実現へ  全労協新聞 2012年10月号 1面

原発に依存しない社会の実現へ  全労協新聞 2012年10月号 1面
 
 
 


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新役員体制を確立した全労協第24回大会(9月24日)


 
原発に依存しない社会の実現へ
 
全力で、正規・非正規を問わず労働者の権利向上を
社会的責任を放棄した企業経営を許さない
 
 
 過日の民主党代表選挙で、野田首相が圧倒的多数で再選されたようだ。近々「二匹目」野田内閣が発足することになるのだろう。

 野田内閣は信任できないとして、参議院では問責決議案が可決されているのに、消費税増税、TPP推進、原発再稼働、原子力規制委員会の人事、オスプレイ強制配備などを強行しようとしている。この国民の思いを無視した強硬姿勢はどこから出てくるのだろうか。野田首相は民自公の三党首会談で、自公両党が望んでいる衆院解散・総選挙について、「近いうちに国民に信を問う」と明言し、その見返りとして、自公両党は、野田首相が政治生命を懸けていた消費税増税法案に賛成し成立に協力した。現在、国会議員や政治関係メディアの関心事は、衆院解散・総選挙はいつ実施されるのかに向けられている。東日本大震災福島原発事故災害からの復旧・復興が遅々として進まない中でのこの政局である。

 二〇〇九年、歴史的な政権交代が行われたが、民主党政権とは一体何だったのか。

 構造改革規制緩和、格差と貧困の増大、派遣非正規労働者の労働実態や生活実態などが明らかとなり、大きな社会問題となった。自公政権の企業優先の政治から、生活優先、地域主権優先の政治を求めるこの勤労国民のエネルギーが爆発した結果の政権交代だった。
 

混迷する政治
高揚する社会運動
 今、民主党政権は誰によって支えられているのか。少なくとも、ナショナルセンター連合がその一翼を担っていることは明らかだ。消費税増税、TPP推進、労働法制、沖縄の基地問題など、連合が果たしている負の役割を指摘せざるを得ない。これでは労働組合が社会的に信用を得るということはない。

 不公平税制を解消することなく、社会保障の関係は国民会議の議論でと先送りになり、消費税増税だけがとおるという状況、原発政策の見直しについても「必要ない」と述べ、基地問題では沖縄県民に犠牲を強い、新自由主義的労働政策は働く者への重大な権利侵害と雇用破壊を招き、雇用は安定せず非正規雇用で働く労働者が三四・三%に達し、年収二〇〇万円以下の労働者は一、一〇〇万人を超え、非正規労働者の四人に三人は年収二〇〇万円以下で働いている。雇用の不安定化、劣悪化、賃金の下落、貧困化、格差の拡大など、「格差と貧困」はますます広がり、われわれの生活の土台を大きく崩壊させている。

 企業側は二〇〇兆円を超える膨大な内部留保資金を貯め込み、総額人件費攻撃と賃下げ、長時間労働を強い、不況になれば派遣・非正規労働者を真っ先に雇い止め解雇という労働者をモノ扱いにして切り捨てる、このような社会的責任を放棄した企業経営をいつまでも許しておくことはできない。
 国民の期待を背負った政権交代は、今や混迷を深め前の見えない政治状況をつくりだしてしまった。
 全労協は、正規・非正規を問わず労働者の権利向上、震災の復旧復興、脱原発の課題、エネルギー政策の転換、基地問題などに全力で取り組まなければならない。
 今日、3・11大震災、福島原発事故以降の反原発の闘いや、反消費税増税、反TPPなどに現れている社会運動の高揚がある。これは明らかに
 
 社会のあり方を問う大きな運動であり、そしてその運動の中心に社会的責任や役割として労働者・労働組合がなければならない。
 明らかに現在の情勢は歴史の転換期を示している。東日本大震災復興と原発に依存しない社会の実現を働くものすべての共通課題とし、労働者が安心して生活でき、人らしく働くことができる社会を実現するために、全力で闘おう。


 
(F)