宇治の水害 ウトロ

宇治の水害 8月中旬に回っていた案内

「ウトロを守る会」の斎藤さんから宇治の水害 8月中旬に回っていた

 8月14日早朝、京都府宇治市を中心とした豪雨被害は市内だけで死者1名、行方不明1名、家屋の全壊12、半壊12、床上浸水500、床下浸水1400。そのうち在日朝鮮人集落・ウトロ地区では、人的な被害はなかったものの約60世帯中、床上浸水10、床下40でした。京都府宇治市に被災者生活再建支援法を適用することを決め、住宅が全壊、半壊した世帯は最高300万円の支援金が支給されますが、床上浸水は従来の例からして見舞い金程度になる見込みです。 17日午前中、私はウトロ地区の被災者を個別訪問しました。3年前にも床上浸水の被害を受けたKさん(在日・1929年生、83歳、女性一人暮らし)は、隣町の娘さんに引き取られました。3年前にみなさんのカンパで畳をプレゼントしましたが、家の前には大きな家財道具の机や電気製品などが大型ごみとして積まれていました。ウトロに再び帰って来れるかわかりません。 飯場の向い側のバラックに住むJさん(1920年生、91歳女性、一人暮らし)、この日ウトロにあるデイサービス・エルファに通い、長椅子で寝ていました。介護士さんによると、足と腰を痛めて椅子に座るのも30分が限度、家事ヘルパーを使い、デイサービスを利用していますが、災害のショックもあって体力の低下は否めません。家の中は床上浸水で、ベットだけが水の上にある状態。従来は床に寝ていたのがベッドを利用するようになって助かった。地域の血縁でここまで来ましたが、このままの状態の継続は限界、なんとか施設の利用ができないか(例えばロング・ショートステイの利用など)と、ケアマネさんに相談します。 Hさん(夫は1958年生、53歳)は夫婦と子2人の標準世帯。お子さんが勉強中でした。大型家具のほとんどは処分され、家の中はガラーンとして、板間に新聞紙が引かれ、使える部屋は4つのうち2つだけ。炊事にも不自由されているようでした。ここでは住めないから、当座住める所を探しているが、公団住宅などは家賃や敷金が高く、とても経済的に無理。どうしたものかと思案に暮れていました。 Kさん(1934年生78歳、女性一人暮らし)は、外で洗濯ものを干していました。水の高さは膝を超えて腰の位置まであり、逃げるのに苦労した。水害はいつものことだが今回は地獄だ。箪笥に古い着物があったが、床上浸水で全部ダメになった。ああ、これで全部捨てる踏ん切りがついたわ、と話されていました。 ウトロ地域の中は泥が出され、一見元に戻った状態ですが、私の見る限り、災害3日目の人々はこのような状況です。もともと土地が周囲より低く、水害の常襲地域ですが、ここまでひどいのは初めて。個々の被害に応じて、住民の生活の維持を具体的に考えることが問われていると思います。 もし、ウトロに仮設住宅があったら、あるいはデイサービス・エルファが小規模多機能(訪問やショートステイ可能)をあわせもっていたら、少しは違うと思うのですが・・・。ともかく、できることを優先して考え、将来のまちづくりに活かしていきましょう。 ウトロを放置してきた行政の歴史的・社会的責任は厳しく問われなければなりません。と同時に、いま進めている住環境整備事業の実施によって、安心して住める新しい町に一日も早く生まれかわることが何より必要です。 ウトロを守る会は、床上被災者の生活支援のためのカンパを集めます。よろしくご協力ください。 振り込みは、郵便振替口座「01030-9-60413 ウトロを守る会」です。金額はいくらでも結構ですが、例えば1000円、3000円、5000円、10000円をお送りください。よろしくお願いします。



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