12春闘の成果を次の闘いへ  全労協新聞 2012年5月号 1面

全労協新聞 2012年5月号 1面
 
 
 


12春闘の成果を次の闘いへ
JAL不当判決、闘いは全労働者の課題に
大飯原発三、四号機の再稼働を許さない闘いを
 
 
12春闘の本格的な闘いを前にして日本経団連労働政策委員会は、ベア実施は論外とし、自社の支払い能力、雇用の維持・創出についての話し合いを前提に、①労使パートナー対話の深化、②総額人件費管理の徹底、③仕事・役割・貢献度など人事・賃金制度について労使が企業の存続と発展をともにめざし、知恵を出し合うのが春闘と主張した。

結果は、大手労組の多くで定昇維持が示されたが、定昇維持分総額人件費を一時金で調整、賃金は「賃金体系維持」「制度的昇級実施」、一時金は「業績連動」「プラスα」など内部にしか分からない回答となった。日本経団連は「日本の主要産業が企業の存続や雇用維持を最優先し、精一杯の努力をした」と評価した。まさに、「経営労働政策委員会」どおりの12春闘となったわけである。

この結果は、これに続く中小と大手との格差、正社員と非正規社員の格差拡大などで苦しめられている中小の春闘を困難にした。そして厚労省ですら、低賃金の非正規労働者の拡大が相対的に賃金を引き下げているといっているのである。賃上げは切実な労働者の生活に根ざした要求なのであって、経営側の思いやりなどで決まるものではない。

こうした最中の、長らく審議がたなざらしになっていた改正労働者派遣法案が、民主、自民、公明の三党による昨年十一月の修正合意のまま今国会で成立した。製造業派遣と、仕事がある時だけ雇用契約を結ぶ登録型派遣を原則禁止する規定は削除され、短期派遣の禁止は対象が「二カ月以内」から「三十日以内」に、みなし雇用制度の施行も三年後に先送りされるなど規制強化は後退した。
全労協は困難な状況下であっても、他の中小に結集する仲間とともに、復興連帯・原発のない社会の実現を柱に12春闘を統一闘争として精一杯闘った。この成果と反省は次の闘いへ確実に引き継がれていくものと確信する。
不当解雇を撤回し早期職場復帰を実現することで整理解雇四要件を守り定着させ、首切り自由の社会を許さないとする、日本航空パイロット・客室乗務員に対する裁判で東京地裁は三月二十九・三十日の両日にわたり不当な判決を下した。形式的に両判決は、更正手続き下であっても整理解雇法理が適用されることを認めたが、被告の主張をほぼ全面的に受け入れ、事実上整理解雇四要件は骨抜きにされ最も厳しい判決となった。労働法制をめぐっては働く者にとって厳しい状況下で、こうした判決も予測されていた。原告は不当判決の取り消しを求めて控訴審を闘うことになるが、こうした判決を許してしまったわれわれの運動も問われている。今や日航の闘いは全労働者の闘いの課題となった。この怒りを組織して反撃体制の強化を図らなければならない。強固な闘争体制を構築しなければならない。

北海道電力泊原発三号機が五月五日に停止することで国内で動く原発が無くなる。「国民生活の根幹にかかわる電力不足が見込まれる。電力をいかに安定供給するか、地域経済に大きな打撃となる。計画停電となれば生産計画も立たずに企業が逃げ出す、現実的な対策を冷静に見極めてもらいたい」という財界の要請に応えて野田政権は、東電福島原発事故の収束をみないまま、「安全性確保と信頼性向上を大前提に、引き続き重要な電源として活用することが重要」と大飯三、四号機の再稼働へ積極的である。これは絶対に許してはならない。原発の無い社会を実現するためにさらに奮闘しよう。
 


 
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