3/30 共和国敵視政策を中止せよ!朝鮮半島平和協定締結・日朝国交正常化の実現を

3月30日付で出ていた「にっこりネット」(京都)の声明
 


【にっこりネット声明】
                        2012330
 
朝鮮民主主義人民共和国による人工衛星打ち上げに対する日米両国政府の対応を許さない
共和国敵視政策を中止せよ!朝鮮半島平和協定締結・日朝国交正常化の実現を
 
朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)の朝鮮宇宙空間技術委員会は、412日から16日の間に、地球観測衛星光明星(クァンミョンソン)3号」を平安北道鉄山郡の発射場から打ち上げることを公表した。衛星は、発射場から南に向かって発射され、打ち上げ用ロケットの1段目は韓国南西部・辺山半島沖140kmの公海上2段目はフィリピン東方沖190kmの公海上に落下する予定である。これに対して、日米両国政府は長距離弾道ミサイルの発射実験だと決めつけ、国連安保理決議違反だと宣伝している。とりわけ日本政府は、この機とばかりに「北朝鮮脅威論」を煽りたて、石垣島沖縄本島や東京への地対空誘導ミサイル・パトリオット3(PAC3)の配備、海上自衛隊イージス艦の南西諸島周辺への派遣など、防衛相による「破壊措置命令」にもとづく迎撃の準備をすすめている。また、ほとんどのマスコミも無批判に政府に同調している。私たちは、このような日米両国政府の対応を厳しく弾劾し、ただちにこのような共和国敵視政策を中止するように要求する。
 
人工衛星の打ち上げは国際法で認められた権利
 宇宙条約はその第一条で、「宇宙空間はすべての国がいかなる種類の差別もなく・・・自由に探査および利用することができる」と規定しており、人工衛星の打ち上げは国際法で認められた権利である。共和国はこの宇宙条約締結国として、人工衛星の打ち上げを公表し、航空機と船舶の航行安全のための資料を国際民間航空機関ICAO)と国際海事機関IMO)に提供している。したがって国際法上なんら非難されるべきものではないのだ。しかし、日米両国政府は、人工衛星の打ち上げと長距離弾道ミサイルの発射は技術的に共通しているとして、長距離弾道ミサイルの発射実験だと決めつけてきた。そのような論理に立つならば、日本が種子島で行なってきた100以上の人工衛星の打ち上げもまた、すべて憲法保有が禁じられている長距離弾道ミサイルの発射実験だということになる。このような論理は、国際的に通用しない。前回20094月の人工衛星打ち上げについて、日米両国が強硬に要求したにもかかわらず、中国・ロシアなどの反対によって共和国を非難する国連安保理決議は成立しなかった。共和国の人工衛星打ち上げを強硬に非難しているのは、日本・アメリカ・韓国などひと握りの国だけなのだ。
 
日本政府は共和国への戦争行為をただちに中止せよ
 日本政府は、南西諸島へのPAC3の配備やその周辺海域へのイージス艦の派遣を行い、日本の領土・領海に人工衛星やその発射ロケットが落下したときには、防衛相の「破壊措置命令」にもとづきこれを迎撃する準備をしている。あたかも、日本が共和国の長距離弾道ミサイルによって攻撃されようとしているかのような異様な対応である。だが、他国が打ち上げた人工衛星をミサイルで迎撃することは、まぎれもない戦争行為なのだ。人工衛星の打ち上げは、アメリカですら約1割は失敗してきた。しかし、落下する他国の人工衛星をミサイルで迎撃しようとした国などこれまで日本以外にどこにもない。まして、今回予告されている打ち上げコースは、もし打ち上げに失敗したとしても日本の領土・領海に落下する可能性は小さい。
 日本政府がこのような強硬な対応をとろうとする目的は、この機会に「北朝鮮脅威論」をさらに深く民衆のなかに浸透させ、共和国に対する戦争行為の発動を民衆に受け入れさせていくことにある。人工衛星の打ち上げを長距離弾道ミサイルの発射実験と決めつけ、これを迎撃しようとする現在の動きは、次には自民党政権時代に公然と語られたような共和国の基地への先制攻撃の準備へとつながっていく。飛来するミサイルをPAC3で迎撃することが技術的に未だ困難ななかで、それならば先制攻撃を加えればよいというのだ。また、南西諸島へのPAC3の配備は、アジア太平洋地域での米軍再編と連動した南西諸島への自衛隊配備の準備、在沖米軍基地の米軍と自衛隊による共同使用の検討などの日米軍事一体化と結合したものである。さらに日米両国政府は、この機会にイージス艦PAC3を中心としたミサイル防衛システム(MD)の実動演習を行い、未だ余りにも精度が低いために実用性を疑われているMDを改良し、共和国に対する戦争準備をさらにおしすすめていこうとしているのだ。私たちは、このような日米両国政府に強く抗議し、共和国への戦争行為の中止を要求する。
 
共和国敵視政策を中止し、朝鮮半島平和協定締結・日朝国交正常化へ
 いま求められていることは、朝鮮戦争以来の朝鮮半島と東アジア情勢を根本的に転換させていくことにある。今年は、朝鮮戦争の休戦から60年目にあたる。しかし、朝鮮戦争を公式に終結させる平和協定の締結を未だにアメリカは拒否している。そして、休戦協定においてすべての外国軍隊の三ヶ月以内の撤退が義務づけられていたにもかかわらず、米軍は現在もなお韓国に駐留しつづけ、核武装した米軍が共和国を軍事的に包囲し、いつでも戦争を発動できる態勢を維持してきた。今年もまた、31日から430日まで米軍11000人が参加する米韓合同軍事演習「フォール・イーグル」を朝鮮半島で実施している。そればかりか、済州島・カンジョンに住民への暴力的弾圧をもって新たな韓国の海軍基地を建設し、米軍と共同使用することなど、さらに戦争体勢を強化しようとしている。そして、日本政府はかつての朝鮮植民地支配と侵略戦争への公式の謝罪や補償を行なわないままに、日米安保のもと共和国に対する戦争体勢に参加してきた。このような軍事的包囲のもとで、共和国もまた対抗的にミサイル発射実験や核兵器の開発など軍備増強の道を進んできた。
 このような朝鮮戦争以来の構造を根本的に転換させていくことは、東アジアの平和と朝鮮半島の自主的平和統一を願う東アジア民衆にとって、国と民族の違いをこえた共通の課題である。日米両国政府は、ただちに共和国に対する敵視政策を中止しなければならない。共和国は、朝鮮戦争休戦後、何度も平和協定の締結をアメリカに呼びかけてきた。アメリカ政府はこれに真摯に対応し、在韓米軍をはじめとした東アジアからの米軍の撤退による共和国への軍事的包囲の解消、朝鮮半島平和協定の締結に向かわねばならない。日本政府もまた、かつての植民地支配と侵略戦争への国家としての謝罪、すべての犠牲者への補償を前提とした日朝国交正常化に向かわねばならない。今年は、日朝国交正常化を約束した2002917日の日朝平壌宣言から10年目となる。しかし、この10年間、日本政府は平壌宣言を踏みにじり、共和国への制裁など共和国敵視政策をさらに強化してきた。そして、「北朝鮮の脅威」を煽りたて、それを口実にして日本の独占資本家たちと保守支配層の念願である日本の戦争国家化をおしすすめてきた。もうこのような時代は終わりにしなければならない。
 
真の多民族共生社会をつくりだそう
 このような日本政府の共和国敵視政策のもとで、在日朝鮮人への民族差別、基本的人権の抑圧と迫害が強まってきた。高校無償化制度からの朝鮮学校の排除と自治体からの助成の打ち切り・削減は、そのことをはっきりと示すものである。そして、日本の民衆のなかに排外主義が浸透し、在日朝鮮人朝鮮学校への攻撃をくり返す右翼ファシズム勢力も台頭してきている。しかし、未だ少数ではあっても、日本の労働者や市民、青年学生たちが、在日朝鮮人への民族差別、基本的人権の抑圧と迫害に反対し、右翼ファシズム勢力とのたたかいに立ちあがってきた。ここにこそ希望があるのだ。日本社会を真の多民族共生社会へと変革していくために、ともに力をあわせよう。
 
 


 
(F)