放射能汚染が復旧・復興の障害  全労協新聞 2012年2月号 2面

全労協新聞 2012年2月号 2面
 
 


脱原発に向けた労働者の闘い

 
●東北全労協12春闘にむけて
 
放射能汚染が復旧・復興の障害
社会的労働運動の実践を
 
 
 東日本大震災福島原発事故から十ヶ月を経過し、新しい年を迎えました。

 地震津波原発被災の直後から全労協、全国の仲間、友人の皆さんからいただいた激励とご支援、ご指導に改めて心から感謝と御礼を申し上げます。

 東北全労協は加盟組合、組合員、友人、市民運動の友人とともに、労働相談、生活相談、そして東松島の「長石のかき」復興プロジェクト、同じく「すみちゃんの家」復旧支援、壊滅した雄勝町船越での養殖(ワカメ、コンブ)復旧支援、また教育・医療・在宅介護等々の広範囲にわたる支援・復旧・復興活動に取り組んできました。東北全労協はそれらの活動を「脱原発を基軸とした復旧・復興」のスローガンを掲げ、社会的労働運動として推進してきました。

 放射能汚染は第一次産業の復旧・復興の最大の障害物となっています。こうした事実を無視し、野田政権は世界中が、そして日本国内でも誰も信じない「原発事故の収束」を嘘に嘘を重ねて宣言し、原発の再稼働と海外輸出への積極姿勢を打ち出しています。

 政府、東電、経済界は福島県に限定したいとの思いがあるようです。しかし、大地と海の放射能汚染が、少なくても東日本全域に及んでいることは否定しようがありません。現に世界は東日本全体の輸出食料品と製品に放射能検査を求めています。仙台空港離発着の定期国際便は一本も飛んでいません。

河川の汚染濃度は、福島県から宮城県に流れ込む阿武隈川河口で十二万ベクレルが測定されています。農畜産物は二割から三割も値段が下がり、販売量は昨年の四割も減少しています。さらに「匂いもなく目に見えない恐怖」は「人口流出」を加速させ、福島県民のみならず千葉県、茨城県群馬県などホットスポット都市に拡大しています。

 津波により地域社会が崩壊した沿岸部で雇用危機と住宅問題が深刻化しています。その原因は政府と県行政の怠慢にほかなりません。沿岸部に今必要なのは、地盤沈下した場所をかさ上げし、地場産業とくに水産加工場の復活を急ぐことです。

 命と暮らしを守る街づくりに不可欠なのは、職住分離ではなく、人が地域で日常生活を営むための保育園、幼稚園、学校、病院、福祉施設、職場が混在していることです。高額な自己負担を求める高台移転ではなく、公共の高層アパートが建設されるべきです。

 東北全労協全労協中央を始め全国の仲間、世界の友人から多くの激励と見舞い、被災支援を受け、地域に限定されてはいますが、この間、社会的労働運動として救援・復旧活動を展開することができました。これからも地方行政への申し入れや提案等を行いながら、長期の闘いを実践していく決意です。
 大震災から一年を目前にして、春闘に向っての課題は山積みですが、今後ともご支援とご指導を重ねてお願い申し上げます。

(東北全労協事務局長 亀谷保夫)
 

 
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