全労協/ 19けんり春闘・参議院選挙勝利へ / 新聞 2019年5月号

全労協19けんり春闘参議院選挙勝利へ / 新聞 2019年5月号



19けんり春闘参議院選挙勝利へ
安倍政権打倒の一点で結集し 
職場労働運動の積み重ねから 
参議院選挙勝利を展望しよう!


民間大手を中心に取り組まれた19春闘前半の闘いは、産別統一要求・相場形成・社会全体への波及といった春闘本来の姿が後景へと退く中での取り組みとなった。経団連が産別統一交渉に否定的な態度を示し、一部の産別もこれに呼応した。

こうした春闘構造の変化によって、春闘そのものが見えにくくなったと言われている。個々の産別、単組は精一杯の交渉を尽したものと思うが、労働者の怒りを労働組合が受け止めて闘いとして組織化できていない証左だ。

四月は民間大手の春闘結果を受けての中小・非正規の春闘だ。大幅賃上げだけでなく、新たな労働法制、新たな入国管理法の下での、新しい課題に取り組む春闘だ。非正規労働者均等待遇の闘い、外国人労働者の権利確立の闘い、組合所属による差別や首切りを許さない闘い、パワハラなどの横暴を告発する闘いが各地で粘り強く展開されている。

春闘と平行して、四月は統一地方選挙が戦われた。夏には参議院選挙、場合によっては衆参ダブル選とも言われている。一連の選挙戦の結果如何では、安倍政権が悲願の改憲に向けて一気にその工程を加速するだろう。しかし前半の選挙戦の特徴は、無投票当選の多さ、与野党対決構造の埋没、そして低投票率にあった。四一道府県議選挙では議席の二六・九%が無投票、岐阜県議選の四七・八%を筆頭に五県で四割を超えた。投票率も大阪クロス選挙を例外として低迷し、四一道府県議選挙は過去最低の四四%となった。獲得議席では、一部野党間の消長はあるものの、トータルとしては自民党が現有勢力を優に確保した。個々の課題では政府与党の政策に不満はあっても、変化を望む投票行動には結びつかなかったということだ。新聞各紙は改元問題、芸能人の薬物使用疑惑で持ちきりとなり、選挙に関する報道は影を潜めた。

選挙の度に、「不正選挙だ」「世論操作だ」といった声が上がる。もちろんそうした不正を警戒することは重要だが、自分たちの思いと違う結果をすべて陰謀論に導くことは危険だ。特別の変化を望まない層や、「どうせ投票しても変わらない」とあきらめている層は、実際には大きい。

野党の「だらしなさ」を指摘するのは簡単だが、自公政権と対決できる野党勢力を育てるのは、市民であり労働組合の役割でもある。自公あるいはその補完政党が着実に足場を固めていくその先に、どのような社会が待ち構えているかを暴き、変化を望まない人びとやあきらめている人びとに訴えていく力が私たちに欠けていることを自覚しなければ、いつまでたっても負け惜しみだ。


私たちはあきらめない

出身単組で委託会社の組織化を進めていたときに、気がついたことがある。委託会社には組合は存在しない。低賃金に加えて職場にパワハラが横行し、中途で辞めていく社員が後を絶たない。しかしそのままでは特段不満の声は上がらない。不満を訴えることは面倒であり、「嫌なら辞めるしかない」と誰もが考えていた。しかし、ある社員が、朝礼での指示に逐一質問を挟むようになった。なぜこの仕事のやり方を変更するのか、他の方法はないのかと。それを聞いていた若い社員たちは、疑問を抱くことを覚え、疑問を口にすることを覚え、やがて不満を集めて上司に改善を求めるようになった。使用者と労働者は対等であることを学んだのだ。

もちろん、自分たちが職場を変える当事者だと気づいたに過ぎず、それですぐ会社が、職場が良くなったわけではない。しかしそうした地道な格闘を積み重ねて、会社の構成員一人ひとりの意識を変えていく以外に、会社を変えていく道はない。

統一地方選挙の結果はたとえ厳しいものであっても、安倍政権が目指すゴールの危険性に気がついている私たちはあきらめるわけにはいかない。安倍政権打倒の一点で結集を目指し、職場労働運動の積み重ねの中から、参議院選挙勝利を展望しよう。

 (全労協議長渡邉洋)